2025年、ライフサイエンス不動産投資の最新動向とキャリアへの影響

ライフサイエンス不動産投資が熱い:東京市場の最新トレンド

近年、医療・バイオ分野の成長を背景に「ライフサイエンス」関連施設への不動産投資が世界的に注目されています。2025年5月時点の日本でも例外ではなく、東京を中心にライフサイエンス施設の開発・投資が活発化しています。

例えば、米大手投資会社ウォーバーグ・ピンカスは日本の資産運用会社Eastgateと組み、ライフサイエンス資産に特化したジョイントベンチャー(JV)を通じて東京・品川区のオフィスビル「品川シーサイドウエストタワー」を取得しました。このJVはGRCという新ブランド名で物件展開を行っており、2023年の設立以来すでに横浜と東京で高品質な研究開発(R&D)資産を3件取得するまでに拡大しています。

現在、GRCのポートフォリオ規模は延床面積で100万平方フィート超、運用資産額は3億ドル以上に上り、国内の強いテナント需要に応えるべく積極的な投資を続けています。「民間賃貸できるライフサイエンス向け不動産が著しく不足している日本市場で、専門性の高い施設を提供する」というJVの狙いも明確です。

一方、国内デベロッパー各社もライフサイエンス分野への取り組みを加速させています。

三井不動産は東京・日本橋エリアでライフサイエンス拠点を次々と開設し、2020年末時点で日本橋だけでも10か所の拠点を整備しました。近年はその枠を越え、大学や医療機関との連携によるイノベーション創出にも注力しています。

実際、2024年12月には筑波大学との産学連携協定を締結し、「次世代のサイエンスパーク」の在り方を共に模索するプロジェクトを始動しています。

三井不動産は2024年4月にイノベーション推進本部を新設し、大学との共同研究やスタートアップ支援など不動産の枠を超えた新領域への挑戦を経営戦略に掲げています。また同月には米国テキサス・メディカルセンターや国立がん研究センターとの提携を発表し、日本橋のグローバル拠点を通じて国内バイオベンチャーの海外展開支援プログラムを開始するなど、国内外のライフサイエンス・エコシステムを繋ぐハブ作りにも余念がない状況です。


投資家が注目するポイント:ライフサイエンス不動産の需給ギャップと賃料上昇の現状

日本のライフサイエンス不動産市場では、高品質な賃貸ラボ施設が圧倒的に不足しています。

大手製薬会社や研究機関は郊外に自社施設を構えてきたため、都心部で賃貸できるR&D拠点は極めて限られた状況です。Warburg PincusとEastgateによるJVもこの需給ギャップに着目し、投資妙味が高いと判断しています。

一方で、共同研究やオープンイノベーション志向の高まりを背景に、企業は自社施設だけでなく外部ラボの活用にも関心を示しており、都心部のラボ需要は拡大中です。政府主導のスタートアップ支援や産学連携の促進も、賃貸ラボ市場の底堅い成長を後押ししています。

このような需給バランスのもと、ラボ物件の賃料は高止まりしています。CBREの試算では、東京中心部の新築ラボの賃料は年間約50ドル/平方フィート(坪単価約2万円超)となっております。特に、安全基準や特殊設備を備えた「ラボ適格」物件には賃料プレミアムがつき、投資家にとっても安定収益が期待できるアセットクラスとなっています。


不動産業界の求人ニーズ拡大:アセットマネジメントからリーシングまで

ライフサイエンス不動産の成長は、不動産業界の人材市場にも変化をもたらしています。ウォーバーグ・ピンカスが東京拠点を新設し、アセットマネージャーやアナリストの採用を強化するなど、専門人材のニーズが急増しています。三井不動産では「イノベーション推進本部」を立ち上げ、産学連携や海外提携プロジェクトを推進する人材を積極採用中です。

また、国内のアセットマネジメント会社やREIT運用会社でもライフサイエンス特化チームが編成され、「研究施設のプロパティマネジメント」や「リーシング担当」といった求人が登場。不動産金融業界でも、オフィス・商業からラボ・医療施設へと業務領域が広がっています。

特に、製薬・研究機関のニーズを理解できる人材や、理系出身者・バイオ業界経験者の転職も増加傾向。不動産の専門性と科学技術への理解を併せ持つ人材が重宝される時代です。

年代別キャリア・転職戦略:ライフサイエンス不動産に挑戦するには

20代転職:基礎力と関心を武器にポテンシャル採用へ

若手は吸収力と柔軟性が強み。不動産や金融業界での経験を積みつつ、ライフサイエンス分野への関心と学習意欲を示すことで道が開けます。デベロッパーや外資ファンドでは、若手を新領域に配属する例も。エージェント経由で特化チームやREIT関連求人を探すのも効果的です。

30代転職:関連スキルを活かし専門職へステップアップ

不動産ファンドや製薬・研究機関での経験を活かし、アセットマネジメントやR&D施設開発の中核メンバーとして活躍の余地あり。マネジメント力や理系バックグラウンドが評価される場面も多く、未経験でも隣接スキルがあれば十分にチャンスがあります。

40代転職:リーダー人材として成長市場を牽引

事業責任者・統括マネージャーとしての需要があり、過去のマネジメント経験やアセット開発の実績が活かせます。特に物流・データセンターなどの特殊アセット経験者は親和性が高く、医療・大学とのネットワークを橋渡しする存在としても期待されます。

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おわりに:未経験でも挑戦可能な成長分野

総じて、ライフサイエンス不動産分野の拡大は不動産業界の求人・転職市場に新風を吹き込んでいると言えるでしょう。未経験者にとっては新たな挑戦領域が開け、経験者にとっては培ったスキルを活かしつつ成長産業に関与できる好機です。「不動産×ライフサイエンス」という異色の組み合わせだからこそ、様々なバックグラウンドの人材が交錯しイノベーティブな職場文化が育まれつつあります。興味を持った方はぜひ専門の転職エージェント等に相談しつつ、最新の市場動向や事例を学びながら、この躍進するセクターでのキャリア構築を検討してみてください。日本のライフサイエンス不動産市場はまだ黎明期ですが、だからこそ将来のリーダーや専門家として名乗りを上げるチャンスが広がっています。

不動産×ライフサイエンスという新領域で、自身のキャリアを切り拓きたい方は、ぜひ不動産金融特化の転職エージェント「bloom株式会社」にご相談ください

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【参考文献・情報源】

Greater Tokyo Market | CBRE

Warburg purchases Tokyo rental houses and plans Japan office – The Japan Times

Joint Venture Between Warburg Pincus and Eastgate Group Completes Shinagawa Seaside Acquisition – private-equitynews.com

三井不動産 | 筑波大学と三井不動産 産学連携の推進に関する協定書を締結

三井不動産 | Texas Medical Center、三井不動産、国立がん研究センターがパートナーシップを締結