不動産業界の未来を担う「人材戦略」の高度化──企業が注目する新しい人材像

業界は今、“人”が最大の競争力になっている

不動産業界はいま、歴史的な転換点に差し掛かっています。アセットの取得・運用に加え、テクノロジー導入・環境対応・海外マネーの流入など、求められるスキルと知識は日々多様化しています。

かつては「宅建士」や「不動産鑑定士」といった資格保有者が市場価値を高めていましたが、今や「複数分野にまたがる総合型人材」こそが企業の競争力の源泉とされています。

こうした変化に対応するため、企業各社は人的リソース戦略の見直しを急いでいます。

とくに不動産アセットマネジメント業界では、“人材の質と構成”が投資成果に直結する時代が到来しています。


「金融×不動産」ハイブリッド人材の価値が急上昇中

J-REITの拡大や私募ファンドの多様化を背景に、ファンド運用・リスクマネジメント・PMI・デューデリジェンスなどに長けた人材が急速に求められるようになっています。

特に20代~40代の中堅層においては、「金融から不動産業界への越境転職」「外資金融→AM会社へのキャリアシフト」といったハイブリッド人材の流動が顕著です。

求人票を見ると、「未経験歓迎(金融出身者)」とするポジションも増えており、これまでの不動産業界に見られなかった柔軟な受け入れ体制が形成されつつあります。

人材紹介会社や専門エージェントはこうしたニーズを把握し、個別支援の精度を高めており、企業と求職者の間をつなぐ高度な情報戦が展開されています。


テックを理解する“DX対応型”不動産人材とは

不動産業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は今や避けて通れないテーマです。PropTech(不動産テック)やAI評価、データ分析など、従来の不動産業務にはなかったスキルが急速に浸透しています。

特に注目されているのは、SaaS型の賃貸管理システムや、AIを活用した価格予測モデルを扱える人材。これまでIT業界にいた人々が、不動産業界にキャリアチェンジするケースも少なくありません。

実際にIT 出身者がAM会社にジョインし、SQL・Python によるデータ分析やBI ダッシュボード構築を担当するケースが増加。求人では「IT 背景 × 不動産志望」を歓迎し、オンボーディング研修にデータリテラシー講座を組み込む企業も登場し、“業界横断型”人材が価値を持つ構造が整いつつあります。


「グローバルAM人材」が活躍する舞台が広がっている

近年、シンガポール・香港・中東など海外投資家による日本不動産への関心が高まっており、これに伴い「英語対応可能なアセットマネージャー」の需要が大きく伸びています。

従来はごく一部の外資系企業に限られていた国際型人材の採用ですが、現在は日系企業でも、海外ファンドとの交渉・レポーティング対応・ESG説明ができる人材を積極的に登用しています。

実際の求人には、国内企業も海外IR 強化のため、TOEIC 900 点+AM 経験を採用要件に掲げるケースも目立ちます。

この分野は、経験者が極めて少ない“ブルーオーシャン”であり、金融経験と語学力があれば、30代前半でも年収1000万円超えのケースも珍しくありません。


ESG・ZEBに対応する専門人材の新潮流

カーボンニュートラルやESG投資が進む中、不動産においてもZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)対応やサステナブル建築の知識を持つ人材が不可欠になっています。

大手ディベロッパーやREIT運営企業では、建築士や環境工学のバックグラウンドを持つ人材に加えて、「環境×金融」のハイブリッド型人材を求める傾向が明確化しています。

また大手REITでは、ポートフォリオ全体のカーボン強度を 2030 年までに 50 %削減する目標が設定され、“ESG データ統合担当”という新職種が誕生しており、政府補助金やSBTi 適合に向けた技術要件が複雑化する中、資格取得(環境プランナー、LEED AP 等)+実務経験のダブル要件が評価基準になっています。

新卒や中途採用においても、ESG認証取得経験や、環境指標KPIの運用経験を持つ人材は高評価を受けるようになっており、専門教育と実務の融合が今後のカギになります。

🔗不動産・人材双方で実現するポートフォリオ戦略


キャリアは「越境」する時代:転職市場のリアルな動き

いまの転職市場で注目されているのは、“異業界からのチャレンジ”を受け入れる土壌の拡大です。IT業界・金融業界・環境コンサルなどからの越境転職事例が増加しています。

特に20代・30代は「成長環境」「市場価値の向上」を重視し、従来の安定志向から自己実現型のキャリア選択へとシフトしています。一方40代は、「専門性の再定義」や「後進育成」を軸に据えた再構築型のキャリアを模索しています。

こうした流れの中で、求人票だけでは分からない“本音”を伝える存在としてのエージェントの役割は、ますます大きくなっています。

🔗不動産ファンド業界におけるDXと転職市場を乗り越えるためには


転職は情報戦。信頼できるパートナーが未来を変える

不動産業界の構造変化が進む今、転職は単なる「移動」ではなく、戦略的キャリア設計の一部となっています。

トレンドの変化がますます速くなっている今、転職におけるアップサイド(上振れ)とリスクの振れ幅も大きくなってきています。

たとえば、同じアセットマネジメント(AM)という職種でも、「取得特化型」「運用改善型」「ストラクチャリング主導型」といったように、ポジションの性質によって求められるスキルセットがまったく異なります。

また、金利の動向や外資マネーの流入状況、ESGに関する規制強化といった外部環境が複雑に絡み合い、企業の採用要件がわずか半年で大きく変わるというケースも珍しくありません。

こうした変化の激しい時代においては、信頼できる転職エージェントの存在がますます重要になっています。

エージェントは、リアルタイムで更新される求人データベースと企業内部の評価ロジックを照合しながら、候補者にとって“今この瞬間”に最適なタイミングと舞台を見極めてご提案します。

情報格差が縮まれば、キャリア形成におけるリスクとリターンのバランスも格段に良くなります。転職を成功に導くためには、情報と選択肢を持つこと、そしてその情報を正しく活用できるパートナーと出会うことが鍵となるのです。

「もっと市場価値を高めたい」「未経験からAM業界に飛び込みたい」——そんな方は、ぜひ不動産金融特化の転職エージェント「bloom株式会社」にご相談ください

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■参考文献

国土交通省『不動産業ビジョン2030』

PwC『Real Estate 2025 – Building the future』

CBRE『不動産業界におけるDX・人材戦略レポート2024』

野村総合研究所(NRI)『ESG投資と人材育成に関する実態調査』

J-REIT協会『J-REIT市場の動向と人材課題 2024年版』