「AM vs PM vs BM」役割と年収の決定的な違いとは?キャリアパスの境界線を解説

サマリー

不動産業界の運用・管理構造は、投資戦略を司るAM、運営実務を担うPM、そして建物の物理的な維持を支えるBMという三層のピラミッドで構成されています。

アセットマネジメント(AM)は、投資家から預かった資金を用いて、不動産ポートフォリオの構築、物件の取得・売却判断、運用戦略の策定を行う「投資の司令塔」です。高度な金融知識と市場分析力が求められ、年収水準は三職種の中で最も高く、成果報酬の比率も大きいのが特徴です。

プロパティマネジメント(PM)は、個別の物件レベルでの収益最大化を目指す「運営の責任者」です。リーシング(テナント募集)や賃料改定交渉、BMへの指示出しなど、ソフト面での運営を主導します。AMの戦略を現場で実行に移す役割であり、高い調整能力と収支管理能力が求められます。

ビルディングマネジメント(BM)は、設備の保守点検、清掃、警備、防災などのハード面を管理する「建物の守護神」です。建物の安全性を維持し、資産価値の毀損を防ぐ基盤を担います。技術的な専門知識が重視され、安定的なキャリア形成が可能です。

2024年以降の動向として、不動産DXの推進が加速しており、全ての職種においてデジタルリテラシーが不可欠となっています。また、省エネや脱炭素(ESG)への対応が物件価値を左右する重要な要素となり、職種間の連携がこれまで以上に重要視されています。

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不動産運用業界の全体像と2024-2025年の最新市場動向

不動産業界における管理・運用のあり方は、単なる「場所の貸し出し」から「高度なサービス業」へと変貌を遂げています。特に投資用不動産の世界では、アセット(資産)から生み出されるキャッシュフローをいかに最大化するかが至上命題となっています。

1 不動産投資市場の現在地

2024年から2025年にかけて、日本の不動産投資市場は金利動向や国際情勢の変化を受けつつも、底堅い需要を維持しています。国内外の投資家や金融機関は、安定した収益を求めてオフィス、物流施設、商業施設といった多様なアセットへの投資を継続しています。このような環境下で、資産運用を専門に行うアセットマネジメント(AM)の役割は、より高度な投資戦略と機動的な売却判断が求められるようになっています。

2 DX(デジタルトランスフォーメーション)の波

不動産業界におけるIT化は、もはや避けて通れない課題です。2024年の調査によれば、不動産関連事業者の多くがDXを推進すべきと考えており、実際に約3分の2が取り組みを開始または予定しています。DXの推進は、単なる業務効率化に留まらず、物件の稼働率向上や維持コストの削減といった直接的な利益向上に寄与しています。DX経験者の多くがその効果を実感しており、特に「従業員の生産性向上」をメリットとして挙げる声が目立ちます。

しかし、一方で「2025年の崖」と呼ばれるレガシーシステムの問題も深刻です。既存の古いシステムから脱却できない企業は、DXを実現できず、2025年以降に多大な経済損失を被る可能性があると指摘されています。これに伴い、最新のITツールを使いこなせる人材の価値が急上昇しています。


アセットマネジメント(AM):投資価値を創造する司令塔

アセットマネジメント(AM)は、不動産運用における最上流の業務です。投資家から委託された資金を効率的に運用し、資産価値を最大化して利益を還元することがミッションです。

1 AMの具体的な業務内容

AMの業務は、投資の全フェーズにわたります。

  • 取得(アクイジション): 投資対象となる物件の情報を収集し、市場分析や将来のキャッシュフロー予測に基づいた価格妥当性を検証します。金融機関からの資金調達(ファイナンス)やデューデリジェンスの統括も行います。
  • 運用(期中管理): 取得した物件のパフォーマンスを最大化するための戦略を練ります。PM会社に対して「どのようなテナントを誘致すべきか」「大規模修繕にいくら投資すべきか」といった指示を出します。
  • 売却(ディスポジション): 最適な出口戦略(エグジット)を立案します。市場がピークのタイミングを見極め、売却益を最大化することで投資家への配当を増やします。

2 AMに求められる専門性とスキル

AMには、不動産知識だけでなく、高度な金融知識が不可欠です。DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)を用いた資産評価や、キャップレート(期待利回り)の動向把握、金利上昇リスクへの対応など、金融機関出身者が多く活躍している領域でもあります。また、投資家に対する詳細なレポート作成や、多額の資金を動かす責任感も必要です。

3 AMの年収水準とキャリアパス

AMは三職種の中で最も年収が高い傾向にあります。若手のジュニアクラスでも年収450万円〜800万円程度からスタートすることが多く、経験を積んだマネージャークラスになれば1,000万円を超えるのが一般的です。外資系不動産ファンドなどでは、運用成績に応じた多額のボーナスが支給されることもあります。キャリアパスとしては、PMからのステップアップや、金融業界からの転職が主なルートとなります。


プロパティマネジメント(PM):現場の収益を最大化する経営者

プロパティマネジメント(PM)は、特定の物件の運営・管理をオーナー(投資家やAM)から請け負い、現場の司令塔として動く役割です。「森(資産全体)」を見るAMに対し、PMは「一本一本の木(物件個別)」を健全に育てる役割と例えられます。

1 PMの具体的な業務内容

PMの業務は、物件のキャッシュフローに直結するものが中心です。

  • リーシング管理: テナント募集の戦略を立て、仲介会社と連携して空室を埋めます。物件の魅力を高めるための提案も行います。
  • 契約・入居者対応: 賃貸借契約の手続き、賃料の回収・督促、テナントからのクレーム対応など、ソフト面での管理を一手に引き受けます。
  • 収支管理: 物件の維持費を最適化しつつ、NOI(純収益)を向上させるための計画を策定します。
  • BMの監督: 設備の点検や清掃を行うBM会社を適切にマネジメントし、サービスの質を維持します。

2 PMに求められる専門性とスキル

PMには、多様な関係者との高いコミュニケーション能力と交渉力が求められます。テナントの要望を汲み取りつつ、オーナーの利益も守るというバランス感覚が必要です。また、宅地建物取引士などの資格は業務上必須となることが多く、不動産取引の法的知識も不可欠です。近年では、物流施設や商業施設など、アセットの特性に応じた高度な運営ノウハウを持つPMの需要が高まっています。

3 PMの年収水準とキャリアパス

PMの年収は所属企業の規模や親会社の属性に左右されますが、概ね400万円〜800万円程度のレンジが一般的です。大手デベロッパー系のPM会社では福利厚生が充実しており、安定した昇給が見込めます。PMとしての経験は、将来的にAMへとキャリアチェンジするための重要なステップとなります。


ビルディングマネジメント(BM):資産価値を支える基盤

ビルディングマネジメント(BM)は、建物の物理的な維持・管理を担うハード面の専門家です。物件の安全・安心・快適を最前線で支える重要な役割です。

1 BMの具体的な業務内容

BM의 業務は、建物の機能を維持し、法定点検を遵守することにあります。

  • 設備保守点検: 電気、空調、給排水、消防設備などが正常に作動するか、定期的に点検します。
  • 清掃・警備管理: ビル内の美観と安全を守るため、清掃スタッフや警備員の配置・管理を行います。
  • 大規模修繕のサポート: 建物全体の劣化状況を把握し、長期的な修繕計画を策定するための技術的なアドバイスを行います。
  • 緊急対応: 設備故障や災害などのトラブル発生時に、現場へ急行して一次対応を行います。

2 BMに求められる専門性とスキル

BMには、建築や設備に関する技術的な知識が強く求められます。電気主任技術者や建築物環境衛生管理技術者などの専門資格を持つことで、市場価値を大きく高めることができます。また、現場の小さな異変に気づく観察力や、緊急時に冷静に判断を下す力も重要です。

3 BMの年収水準とキャリアパス

BMの年収は、一般社員クラスで350万円〜500万円、役職者になると600万円〜800万円程度となるケースが多いです。PMやAMに比べると初任給は控えめな傾向がありますが、専門技術を身につけることで長く安定して働ける職種です。また、近年はスマートビルの増加に伴い、ITを活用したビル管理システム(BMS)に精通したBM人材のニーズが拡大しています。


AM・PM・BMの役割と年収の決定的な違い(一覧比較)

それぞれの職種の違いをより明確にするため、以下の表にまとめました。

表1:AM・PM・BMの機能別比較一覧

表2:推定年収レンジの比較(2024-2025年最新動向に基づく)

※年収は企業規模、外資・国内、地域により大きく変動します。


キャリアパスの境界線とキャリアチェンジの可能性

それぞれの職種は独立しているわけではなく、キャリアとして地続きになっています。

1 BMからPMへの転換

BMとして現場のハード面を深く理解していることは、PMに転身した際に強力な武器になります。設備の不具合によるクレーム対応や修繕計画の立案において、技術的なバックボーンを持つPMは、AMやオーナーから高い信頼を得やすいためです。この転換は比較的多く見られるキャリアパスです。

2 PMからAMへの転換

PMとして物件の稼働率向上やコスト管理に実績を残すと、AMへの道が開けます。AMはPMに対して指示を出す立場であるため、現場の実務(PM)を知っている人材は「実効性のある戦略」を立てられると高く評価されます。ただし、AMへの転換には金融知識や財務モデリングの習得が必要となるため、自己研鑽が欠かせません。

3 専門性を深めるキャリア

一方で、一つの領域を極める「縦のキャリア」も魅力的です。例えば、BMとして「エネルギー管理士」を取得し、ESG対応の専門家として活躍する、あるいはPMとして「物流施設」に特化した高度なリーシング能力を身につけるといった道です。2024年以降、アセットの多様化が進んでいるため、特定分野の深い知見は大きな差別化要因となります。


2024-2025年の重要テーマ:DX、ESG、そして雇用

現在の不動産業界で働く上で無視できないのが、社会的・技術的な変化です。

1 IT化の現状と将来

前述の通り、DXは業務の根幹を支えるサービスとして定着しています。近年の調査では、DXの効果を実感している企業の多くが、単なるコスト削減だけでなく、新たな価値創造に成功しています。今後、AIが市場分析(AM)やテナント対応(PM)、設備の自動点検(BM)をサポートする範囲はさらに広がります。ITリテラシーの有無が、今後のキャリア格差を決定づけると言っても過言ではありません。

2 ESG投資への対応

投資家(特に機関投資家や海外投資家)は、不動産の「環境性能」を厳しくチェックしています。CASBEEやBELSといった環境認証を受けているかどうかが、物件の売却価格や賃料に直接影響します。BMは省エネ運用の実施、PMはグリーンリース契約の推進、AMはポートフォリオ全体の排出量管理といった具合に、三者が一体となってESG戦略を推進する必要があります。

3 物流施設における運用の変化

eコマースの成長により、物流施設は花形のアセットとなりました。最新の物流施設では、単なる倉庫ではなく、そこで働く方々のための「カフェテリア」や「託児所」といった充実したアメニティを備えるようになっています。これらを管理・運営する PMには、従来のオフィス管理とは異なるホスピタリティや雇用環境の整備という視点が必要になっています。


求職者へのアドバイス:どの職種を目指すべきか?

自分に合った職種を選ぶためには、自身の志向性を整理することが重要です。

  • 金融・投資への関心が強く、数字を動かすことにやりがいを感じる方
    アセットマネジメント(AM)を目指すべきです。分析力と戦略的な思考、そして多額の資金を扱うプレッシャーに耐えうる強さが求められます。
  • 現場で人と関わり、物件をプロデュースして収益を上げたい方
    プロパティマネジメント(PM)が適しています。交渉事やトラブル対応など変化の多い毎日を楽しめる方に向いています。
  • 技術的な専門性を武器に、建物の安全を支えるプロになりたい方
    ビルディングマネジメント(BM)が最適です。コツコツと点検・管理を行い、建物の健康を守ることに使命感を感じる方には非常に安定したキャリアとなります。

どの道に進むにせよ、宅地建物取引士の取得は第一歩として強く推奨されます。


結論

不動産業界における AM、PM、BMの役割は、互いに補完し合いながら資産価値を形成しています。2024年から2025年にかけての市場は、テクノロジーの進展や環境意識の高まりによって、より高度で専門的な管理が求められる時代へと突入しました。

AMは「投資戦略」を通じて利益を生み出し、PMは「現場運営」を通じて収益を最大化し、BMは「保守管理」を通じて建物の価値を支える。この構造を理解し、各職種における年収や業務内容の決定的な違いを知ることは、求職者にとって後悔のないキャリア選択をするための必須知識です。

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参考URL

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⚫︎監修者

bloom株式会社 最高執行役社長 (COO) 小田村 郷

慶應義塾大学を卒業後、三井不動産リアルティ株式会社に入社し、不動産仲介(リテール・法人)の第一線で実務経験を積む。

その後、トーセイ・アセット・アドバイザーズ株式会社に移籍。不動産ファンドのアセットマネジメント(AM)業務を専門に担当し、投資家サイドの高度な専門知識を習得する。

独立後、bloom株式会社に参画。最高執行役社長として、不動産仲介からアセットマネジメントまで、不動産業界の川上から川下までを熟知したプロフェッショナルとして事業全体を牽引している。