【実例から学ぶ】未経験・異業種から不動産アセットマネジメントへ!成功への道筋

不動産アセットマネジメントとは?

不動産アセットマネジメント(AM)とは、投資家から預かった資金を元に不動産を取得・運用し、その価値を最大化することで、投資家へのリターンを追求する業務です。プロパティマネージャー(PM)が個別の不動産の運用管理を行うのに対し、AMは投資戦略に基づき、PMと連携しながら、不動産の収入最大化と支出の最小化を図りポートフォリオ全体の価値向上を目指します。

不動産アセットマネジメント(AM)の業務は、大きく アクイジション(取得)フェーズと期中管理フェーズに分けられます。

 

【アクイジションフェーズ】

取得前〜取得時の業務を指し、以下のような内容を担当します。

-市場調査・エリア分析

-投資物件の選定・収益性評価

-デューデリジェンス(法務・物理・財務の調査)

-取得価格や条件の交渉

-スキーム構築とクロージング対応

投資戦略に基づき、「どの物件を、どの価格で、どう取得するか」を見極めるフェーズです。

 

【期中管理フェーズ】

物件取得後の運用期間中の業務で、以下を担います。

-物件価値を高めるバリューアップ施策の立案・実行(例:賃料改善、修繕、用途変更など)

-プロパティマネジャー(PM)との連携による収益最大化・支出最小化の推進

-修繕・設備更新などの運営戦略立案

-投資家へのレポーティング

-最適な売却タイミング・戦略の策定と実行

このフェーズでは「どう収益性を高め、ポートフォリオ全体の価値を向上させるか」が問われます。

詳しくは🔗不動産アセットマネジメントとは?職種別の仕事内容、AM実務経験者監修


未経験から不動産アセットマネジメントへの転職成功事例

事例1:金融業界出身者(ストラクチャードファイナンスからAM(アクイジション)へ)

Aさんのケース:メガバンクストラクチャードファイナンス → 商社系不動産AM会社 アクイジション(取得担当)

Aさんは、メガバンクでストラクチャードファイナンスを長年担当していました。不動産投資信託(J-REIT)や不動産私募ファンドへの融資案件(ノンリコースローン)に関わる中で、不動産ビジネスのダイナミズムと奥深さに魅力を感じ、自身も主体的に不動産の価値向上に携わりたいと考えるようになりました。

 

成功の要因:

  • 金融知識と財務分析能力: ストラクチャードファイナンス業務を通じて培ったキャッシュフロー分析・担保評価、財務諸表の分析能力は、不動産アセットマネジメントにおいて非常に有用です。不動産ノンリコースローンの実行を通じて養われたリスク分析・収益性評価は、投資判断や運用戦略立案における強力な武器となります。
  • コミュニケーション能力と交渉力: 法人折衝で培った顧客との関係構築能力や、複雑な案件をまとめる交渉力は、投資家やレンダー、テナント、PM会社など、多岐にわたるステークホルダー(利害関係者)との調整において不可欠です。
  • 学習意欲と専門知識の習得: 転職活動中に、不動産証券化、不動産鑑定評価、建築・法規に関する基礎知識を独学で習得しました。不動産特定共同事業法や宅地建物取引業法の知識も積極的に吸収しました。特に、不動産証券化マスターなどの資格取得も視野に入れていました。

Aさんは、これらの強みを効果的にアピールし、数社の不動産AM会社からアクイジション(取得)ポジションにて、内定を獲得。最終的に、自身の関心が高かった商業施設特化型のAM会社に入社しました。入社後は、投資案件の選定から不動産ノンリコースローンの調達、投資家対応に至るまで、これまでレンダーとして培ってきた経験を活かしつつ、業務領域を広げながらご活躍されています。

 

不動産関連職から不動産アセットマネジメントへの転職成功事例

不動産業界に身を置いている方にとっても、アセットマネジメントは魅力的なキャリアパスです。ここでは、不動産仲介業とプロパティマネジメント(PM)からの転職事例を紹介します。

事例2:プロパティマネージャー(PM)からAM(期中管理)へ

Bさんのケース:商業系PM会社 → 大手電鉄系不動産AM会社

Bさんは、商業系PM会社で商業施設やオフィスビルの管理運営に携わっていました。テナント対応、修繕計画の策定、コスト管理など、実務的な業務を通じて、不動産の「現場」を熟知していました。しかし、個別の物件管理だけでなく、投資家目線でポートフォリオ全体を最適化する視点に魅力を感じ、AMへのキャリアアップを目指しました。

成功の要因:

  • 不動産のハード・ソフト両面に対する深い理解: PMとして培った、建物設備や修繕計画といったハード面に加え、テナント対応や施設運営、来館者動線の工夫といったソフト面まで精通しています。この総合的な視点は、AMとして物件全体の価値をどう高めるかを判断する上で、大きな強みとなっています。
  • AMとの連携・レポーティング経験を通じたAM視点の獲得: AMとの定期的な報告業務や物件運用戦略の調整業務に携わっており、AMが重視するKPIやポートフォリオ全体での目線を理解していました。その経験から、単なる現場対応にとどまらず、AMの意図を汲んで実務を遂行する力を養っており、スムーズな職種転換に繋がっています。

商業施設特有の収益最大化ノウハウの蓄積: テナントミックスの最適化やシャワー効果(集客テナントによる波及効果)など、商業施設ならではの収益向上施策に数多く携わってきた経験といった現場レベルでの売上予測・分析や動線設計などの知見は、AMとして運用戦略を立案・実行する際に具体性と実現可能性をもたらします。Bさんは、自身の持つ現場感覚と実務知識を強みに、大手電鉄系不動産ファンドのAM部門に転職。商業施設を中心に、ホテルなどのオペレーショナルアセットの運用を担当しております。商業PMの知見を活かした現場のリアリティを踏まえた提案は、投資家からも高い評価を得ています。

 

事例3:不動産仲介業出身者(売買仲介からAMへ)

Cさんのケース:大手不動産仲介会社(法人営業) → 外資系不動産AM会社

Cさんは、大手不動産仲介会社で、事業用不動産の売買仲介を担当していました。多くの投資家や事業会社と接する中で、単に物件を「仲介する」だけでなく、投資家側の視点に立ち、より深いレベルで不動産の価値向上に貢献したいと考えるようになりました。

成功の要因:

  • 不動産マーケットの深い理解: 常に市場の動向を肌で感じ、様々な不動産の価格形成要因を熟知している点は、投資対象物件の選定や出口戦略の検討において非常に強力な強みとなりました。また、顧客として多数のファンドと関わる中で培った信託受益権やファンドビジネスへの理解は、不動産ファンド業界へのキャリア転換において大きなアドバンテージとなりました。
  • 実務経験に基づいた確かな英語力:これまでの業務の中で、海外不動産を扱う機会も多く、英語での対応にも従事してきました。不動産においては、英語力が非常に重要なスキルとなるため、その点も大きな強みとなっています。
  • 交渉力とクロージング能力: 仲介業務で培った、複雑な条件を調整し、最終的に契約をまとめる交渉力は、不動産取得や売却時に不可欠です。

物件評価能力の基礎

仲介業務を通じて、ある程度の物件評価に関する感覚や基礎知識が身についていました。Cさんは、自身の持つマーケット知識とファンドビジネスへの理解、英語力をアピールし、外資系の不動産AM会社に転職。現在は、新規物件のソーシングからデューデリジェンス、取得後の運用戦略の策定・売却まで一貫して担当しています。


不動産アセットマネジメント転職成功の共通点と秘訣

上記の成功事例から、不動産アセットマネジメントへの転職を成功させるための共通点と秘訣が見えてきます。

  1. 論理的思考力と分析力: 投資判断には、膨大な情報を分析し、論理的に結論を導き出す力が不可欠です。未経験者、経験者問わず、この能力は強く求められます。
  2. コミュニケーション能力と交渉力: 投資家、金融機関、PM会社、テナント、ブローカーなど、多様なステークホルダーとの円滑なコミュニケーションと、時には厳しい交渉をまとめる力が必要です。
  3. 会計・財務の基礎知識: キャッシュフロー分析、収支計算、デューデリジェンスなど、不動産投資における金銭的な側面を理解するために不可欠です。未経験の場合は、簿記やUSCPAなどの学習を通じてアピールできます。
  4. 不動産への強い興味と学習意欲: 不動産に関する専門知識は多岐にわたります。宅地建物取引士、不動産鑑定士、不動産証券化マスターなどの資格取得や、自主的な学習を通じて、その熱意と知識をアピールすることが重要です。
  5. 英語力(特に外資系の場合): 外資系のAM会社や、海外投資家を対象とするファンドでは、ビジネスレベルの英語力が必須となることが多いです。
  6. これまでの経験の棚卸しとアセットマネジメントへの接続: どんなバックグラウンドであっても、これまでの業務で培ったスキル(例えば、プロジェクトマネジメント、データ分析、顧客折衝、課題解決能力など)が、どのように不動産アセットマネジメント業務に活かせるのかを具体的に説明できるかが重要です。
  7. 情報収集とネットワーク構築: 不動産AM業界は、情報が非常に重要です。業界の動向、企業の求人情報、キーパーソンとのつながりなど、常にアンテナを張り、積極的に情報収集を行うことが成功への鍵となります。転職エージェントの活用も有効です。
  8. プロフェッショナルとしての高い意識: 巨額の資金を扱う責任感、成果へのコミットメント、倫理観など、プロフェッショナルとしての高い意識が求められます。

まとめ

不動産アセットマネジメントへの転職は、未経験からでも、また不動産関連職からのキャリアチェンジでも十分に可能です。重要なのは、自身のこれまでの経験やスキルを客観的に分析し、不動産アセットマネジメント業務でどのように貢献できるかを具体的に示すことです。

また、不動産アセットマネジメントと、これまで培ってきたスキルや経験との関係性や親和性を的確にアピールすることも重要です。そのためには、不動産アセットマネジメントへの正しい理解に加え、それに繋がるキャリア形成の視点、そして『不動産力 × 金融力 × 英語力』が重要な要素となります。

不動産アセットマネジメントに特化したbloom株式会社では、これまでのご経験がどのようにAM業務に繋がるのか、丁寧にご説明させていただきますので、ぜひ一度ご相談ください。

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参考URL

一般社団法人 不動産証券化協会 (ARES)

不動産証券化に関する基本的な知識や、関連資格の情報が得られます。:https://www.ares.or.jp/    

宅地建物取引業協会

宅地建物取引士の資格に関する情報や、不動産業界の動向について知ることができます。:https://www.zentaku.or.jp/