【コンサル転職】採用担当を唸らせる「志望動機」の書き方・例文|未経験から内定を勝ち取るロジックとは?

サマリー

2025年に向けてさらなる変革期を迎えるコンサルティング業界への転職を目指す方々へ、採用担当者を「唸らせる」志望動機の構築ロジックを完全網羅したものです。単なる例文集にとどまらず、コンサルタントとして不可欠な「論理的思考力」を志望動機というドキュメントで証明するための思考プロセス、未経験者のキャリアをコンサルティングスキルへ変換する翻訳術、そして戦略系・総合系などファームの属性に合わせた書き分けの戦略まで、プロフェッショナルな視点から徹底的に解説します。生成AIやDX、SDGsといった最新トレンドが採用基準に与える影響も分析し、内定を勝ち取るための実践的な「武器」を提供します。


コンサル転職における「志望動機」の戦略的位置づけ

1 なぜ、志望動機が合否の分水嶺となるのか

コンサルティング業界への転職市場は活況を呈していますが、それは決して「誰でも入れる」ことを意味しません。むしろ、応募者数の増加に伴い、採用担当者はより厳格に「コンサルタントとしての適性」を見極めるようになっています。その最初の、そして最大の関門が「志望動機」です。

多くの求職者は、志望動機を「熱意を伝えるラブレター」だと誤解しています。しかし、コンサルティングファームの採用担当者、特に現役のコンサルタントでもある面接官にとって、志望動機は**「最初のプロジェクト提案書」**としての意味を持ちます。

コンサルタントの業務は、クライアントの抱える複雑な課題に対し、事実(ファクト)に基づいた論理的な解決策を提示し、納得させることです。この構造は、転職活動においても全く同じです。

  • クライアント:採用担当者(ファーム)
  • 課題:自社の成長に貢献できる優秀な人材の確保
  • 解決策:私(応募者)を採用すること
  • 根拠:志望動機(Will/Can/Mustの合致)

つまり、自分自身のキャリア選択という「課題」に対して、どれだけ論理的で整合性の取れた「解(志望理由)」を導き出せるか。その思考プロセスそのものが、コンサルタントとしての実務能力(論理的思考力・課題解決力)の証明となるのです。ここで論理が破綻していたり、感情論に終始していたりすれば、「顧客の前でも同じような非論理的な提案をするだろう」と判断され、即座に選考から外れます。

2 採用担当者が見ている「裏」の評価軸

採用担当者が志望動機を読みながらチェックしているのは、表面的な文章の美しさではありません。彼らは行間から以下の「コンサルタント・ポテンシャル」を読み取ろうとしています。

特に重要なのは、「ロジカルであること」と「パッションがあること」の両立です。論理的であることは大前提ですが、それだけでは「冷徹な評論家」に見えてしまいます。一方で、熱意だけでは「扱いづらい熱血漢」になります。この両者を高い次元で統合し、「御社の課題解決(事業成長)のために、私のこの熱意とスキルが不可欠なのです」と納得させることが、内定への最短ルートとなります。

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2025年コンサル業界のトレンドと採用基準の変化

「志望動機」を作成する上で、業界を取り巻くマクロ環境(PEST分析など)を無視することはできません。2023年から2025年にかけて、コンサルティング業界は劇的な変化の渦中にあり、求められる人材像もアップデートされています。最新情報を志望動機に組み込むことで、「情報感度の高さ」と「業界への適応力」をアピールできます。

1 業界を再定義する3つのメガトレンド

現在、コンサルティングファームが直面しており、かつ採用のキーワードとなっているのが以下の3点です。

① 生成AI(Generative AI)の実装と定着

2023年の「実験フェーズ」を経て、2025年は生成AIが企業のコア業務に「本格実装」されるフェーズに入っています。

  • 採用への影響: もはや「AIに詳しい」だけでは不十分です。「生成AIを活用して、クライアントのビジネスモデルをどう変革するか」を語れる人材が求められています。
  • 志望動機への応用: ITバックグラウンドがない方でも、現職でどのようにテクノロジーを活用して業務効率化や付加価値向上に取り組んだかを示すことが重要です。AIを「脅威」ではなく「武器」として捉えるマインドセットが必要です。

② DX(デジタルトランスフォーメーション)の深化

初期のDX(ツールの導入・ペーパーレス化)は一巡し、現在は「ビジネス変革としてのDX」が主流です。

  • 採用への影響: システム導入の経験だけでなく、それによって「どの程度コストを削減したか」「売上をどう向上させたか」というビジネス視点での成果が重視されます。
  • 志望動機への応用: エンジニア出身者は技術力に加え、「経営目線」をアピールすることで、単なる技術屋ではないITコンサルタントとしての資質を示せます。

③ SDGs・サステナビリティ経営の必須化

脱炭素、人的資本経営(ダイバーシティ&インクルージョン)、サプライチェーンの人権対応など、非財務情報が企業価値を左右する時代になりました。

  • 採用への影響: これらは「CSR(社会貢献)」ではなく「経営戦略」そのものです。サステナビリティを事業成長に結びつける視点を持つ人材、あるいは人事・法務・調達などのバックグラウンドを持つ専門人材の需要が急増しています。

2 ポスト2023年の採用市場動向

世界情勢(アメリカの景気動向や地政学リスク)の影響を受け、外資系ファームの一部では採用ハードルが調整されていますが、日本国内におけるDX・変革需要は依然として底堅い状況です。

特筆すべきは、「未経験者採用」の質的変化です。かつてのような「地頭が良ければ誰でもOK」という大量採用時代から、「特定の強み(業界知見や職種専門性)を持つ未経験者」を一本釣りする傾向が強まっています。したがって、志望動機においても「私は何でもやります」というゼネラリスト・アピールより、「私は〇〇の専門性を武器に、御社の××領域に貢献します」というスペシャリスト的な切り口(またはT型人材的な切り口)の方が、採用担当者の目に留まりやすくなっています。


鉄壁のロジックを構築するフレームワーク「Will・Can・Must」

志望動機を書く際、いきなり文章を書き始めるのは悪手です。まずは素材を集め、構造化する必要があります。そのために最適なフレームワークが「Will・Can・Must」です。この3つの円が重なる部分こそが、最も説得力のある志望動機となります。

1 Will(意思・情熱):なぜコンサルなのか?

これはあなたのキャリアの「エンジン」にあたる部分です。

  • 定義: 将来成し遂げたいこと、ワクワクすること、解決したい社会課題。
  • 深掘りの問い:
  • 「現職で最もやりがいを感じた瞬間はいつか?」
  • 「逆に、最も無力感や悔しさを感じたのはどんな時か?」
  • 「10年後、どんな自分になっていたいか?」
  • コンサル志望動機への変換:
  • 現職での「やりがい」を最大化し、「悔しさ(課題)」を解消できる場所がコンサルティング業界であることを証明します。
  • 例:「現場での改善活動(Will)は好きだが、組織の壁に阻まれて全社展開できない(課題)。経営層に直接提言し、組織全体を変革できるコンサルタントになりたい」

2 Can(能力・実績):何ができるのか?

これはあなたの「武器」です。コンサルティングファームは即戦力を求めています。未経験であっても、転用可能なスキル(ポータブルスキル)を提示する必要があります。

  • 定義: 職務経験、保有スキル、資格、得意な行動様式。
  • コンサルタントが反応するキーワード:
  • 論理的思考力、仮説思考
  • プロジェクトマネジメント(PM)経験
  • クライアントワーク、折衝・調整能力
  • 特定業界(金融、製造、医療など)の深いドメイン知識
  • ITスキル、データ分析力
  • コンサル志望動機への変換:
  • 「SEとして培った要件定義能力(Can)」→「クライアントの曖昧な要望を整理し、具現化するコンサルティング能力として活かせる」
  • 「営業として培った顧客深耕力(Can)」→「クライアントの本音を引き出し、真の課題を特定する力として活かせる」

3 Must(需要・期待):企業は何を求めているか?

これは企業の「ニーズ」です。ここを外すと、どんなに優秀でも「ウチではない」と判断されます。

  • 定義: 応募先企業のミッション、事業戦略、解決すべき経営課題、求める人物像。
  • リサーチの視点:
  • そのファームが得意とする業界・領域は?(戦略寄り?IT寄り?人事寄り?)
  • 最近のプロジェクト事例やプレスリリースは?
  • 社員インタビューで語られている「カルチャー」は?
  • コンサル志望動機への変換:
  • 「貴社は現在、製造業のDX支援(Must)に注力している。私の製造現場での知見(Can)と、日本のモノづくりを復権させたいという想い(Will)は、貴社の方向性と完全に合致する」

4 ロジックの結合(Synthesis)

これら3つを統合し、以下のようなストーリーライン(ロジック)を構築します。

  1. Will: 私は将来、〇〇という社会課題を解決したいと考えている。
  2. Why Consulting: しかし現職では××という構造的な限界があり、それを実現できない。だからコンサルタントになる必要がある。
  3. Can: 私には△△という経験・スキルがあり、これはコンサルティング業務においても再現性がある。
  4. Must & Why Us: 貴社は□□というビジョンを掲げ、〇〇領域で圧倒的な実績を持つ。ここでこそ、私のWillが実現でき、Canが最大限に活かせる(貢献できる)。

この一貫した「一本の線」が通っているかどうかが、採用担当者を唸らせるかどうかの分かれ目です。


採用担当者を唸らせる「書き方」の実践テクニック

骨子が固まったら、実際に文章化していきます。ここでは、プロフェッショナルなドキュメント作成のお作法に則り、相手に「読ませる」のではなく「一瞬で理解させる」ための書き方を解説します。

1 構成の黄金律:PREP法の応用

ビジネス文書の基本であるPREP法(Point, Reason, Example, Point)を、志望動機用にアレンジします。

  1. 結論(Introduction): 「私が貴社を志望する理由は、〇〇の経験を活かし、××の領域でクライアントの変革に貢献したいと考えるからです。」(最初に貢献のイメージを植え付ける)
  2. 背景・理由(Context / Why Industry): 「現職では〜という業務に従事してきましたが、〜という課題を感じていました。より本質的な解決を行うためには、コンサルティングという立場が必要だと確信しました。」(転職の必然性を説く)
  3. 具体例・自己PR(Evidence / Can): 「具体的には、〜というプロジェクトにおいて、〜という課題に対し、〜というアプローチで成果を出しました。この経験で培った〜力は、貴社の業務でも活かせると考えています。」(スキルの証明)
  4. 志望企業の必然性(Why Company): 「数あるファームの中でも、貴社の〜という理念(または特徴)に強く惹かれました。貴社であれば、私の目指す〜が実現できると考えます。」(ラブレターパート)
  5. 結び(Conclusion): 「以上の理由から、貴社を強く志望します。」

2 具体性と数字のマジック

「頑張りました」「多くの成果を上げました」といった抽象的な表現は、コンサルティング業界では嫌われます。可能な限り「定量化(数字)」と「固有名詞」を用います。

  • Bad: 「営業成績でトップを取りました。」
  • Good: 「100名の営業部員の中で、3年連続で売上達成率120%以上を記録し、MVPを受賞しました。」
  • Bad: 「業務効率化に取り組みました。」
  • Good: 「RPAツールの導入を主導し、月間200時間の工数削減と、ミス率のゼロ化を達成しました。」

数字は嘘をつきません。数字を入れることで、あなたの成果が「客観的な事実」として採用担当者に伝わります。

3 「企業理念」への共感をどう書くか

多くの応募者が「御社の理念に共感しました」と書きますが、これだけでは浅すぎます。「どの部分に」「なぜ」「自分のどの経験と照らし合わせて」共感したのかを因数分解する必要があります。

  • Step 1: 理念を要素分解する。(例:「Client First」とはどういうことか?徹底的に顧客の利益を考えること)
  • Step 2: 自分の原体験とリンクさせる。(例:現職で自社の利益のために顧客に不要な商品を売らざるを得なかった苦い経験)
  • Step 3: 昇華させる。(例:「現職での葛藤から、真に顧客の利益になる提案こそが長期的信頼を生むと痛感しました。だからこそ、徹底したClient Firstを掲げる貴社でこそ、私のプロフェッショナルとしての矜持を保ちながら働けると考えました」)

このように書くことで、「共感」が単なる感想ではなく、あなたの「価値観の証明」になります。


職種別・コンサル転職「志望動機」完全攻略ガイドと例文

ここからは、求職者のバックグラウンド(属性)ごとに、具体的な志望動機の書き方と例文を紹介します。それぞれの職種が持つ「強み」をどうコンサルティングスキルに翻訳するかがポイントです。

1 【システムエンジニア(SE)編】技術力を「経営視点」へ昇華させる

SEからのコンサル転職は王道ルートの一つですが、単なる「技術屋」と見られない工夫が必要です。「言われたものを作る」立場から、「作るべきものを定義し、ビジネスを変える」立場への転換を強調します。

求められる要素:

  • 上流工程(要件定義・設計)への志向性
  • テクノロジーをビジネス課題解決の手段として捉える視点
  • 顧客折衝能力(ステークホルダーマネジメント)

【例文:大手SIerからITコンサルタントへ】

件名:ITを武器に、日本企業のビジネスモデル変革をリードしたい

【志望理由】

私は、テクノロジーの力でクライアントの経営課題を根本から解決し、競争力を強化できるITコンサルタントを志望します。現職のSIerでの経験を通じ、システムは「導入して終わり」ではなく、ビジネスプロセスそのものを変革しなければ価値を生まないと痛感したからです。

【背景と課題認識】

現職では、金融機関向けの基幹システム開発にてプロジェクトリーダーを務め、QCD(品質・コスト・納期)の遵守に尽力してまいりました。しかし、要件定義の段階ですでに「既存業務の踏襲」が前提となっており、最新技術を活かした抜本的な業務改革(BPR)に踏み込めないジレンマを何度も経験しました。「言われたシステムを正しく作る」だけでなく、「そもそも何を作るべきか」「ITでどう経営を変えるか」という最上流からコミットしたいという思いが強くなりました。

【貴社への貢献と志望理由】

貴社(◯◯ファーム)は、戦略策定からシステム実装、定着化までを一気通貫で支援する体制を持ち、特に「End-to-End」のDX支援に強みを持っています。単なるツール導入に留まらず、クライアントのビジネスモデル変革まで踏み込む貴社の姿勢に強く共感いたしました。

【活かせる経験】

私には、大規模プロジェクトにおける50名規模のメンバーマネジメント経験と、複雑な要件を整理しシステム仕様に落とし込む論理的思考力があります。これらは、貴社のプロジェクトにおいて、絵に描いた餅にならない「実現可能なDX戦略」を策定し、推進する上で必ず役立つと確信しております。技術とビジネスの架け橋となり、貴社のクライアント価値最大化に貢献したいと考えております。

2 【営業職編】「数字を作る力」を「課題解決力」へ変換する

営業職は、一見コンサルと遠いように見えますが、「顧客の課題を聞き出し、解決策を提案して対価を得る」というプロセスは全く同じです。物売り(プロダクトアウト)ではなく、課題解決(マーケットイン)の姿勢を強調します。

求められる要素:

  • 徹底した顧客志向(クライアントファースト)
  • 目標達成への執着心(コミットメント)
  • コミュニケーション能力(傾聴・提案・交渉)

【例文:法人営業から総合系コンサルタントへ】

件名:顧客の真のパートナーとして、本質的な企業変革を支援したい

【志望理由】

私は、クライアントの経営課題に対し、自社商材の枠にとらわれない最適なソリューションを提供できるコンサルタントを志望します。営業職としての経験から、顧客の成長を支援することに大きなやりがいを感じる一方で、提供できる解決策の限定性に課題を感じてきたからです。

【背景と自己PR】

専門商社にて法人営業に従事し、単なる既存ルートセールスではなく、顧客の工場へ足繁く通い、生産ラインのボトルネックを特定して改善提案を行う「提案型営業」を実践してまいりました。その結果、全社MVPを受賞するなど成果を上げましたが、商社の立場では「物流・調達」の領域しか改善できず、組織体制や人事評価制度といった、より根本的な経営課題にアプローチできないことに無力さを感じておりました。

【貴社を志望する理由】

貴社は、総合系ファームとしてSCM(サプライチェーン)から人事・組織改革まで、企業のバリューチェーン全体を包括的に支援できるケーパビリティをお持ちです。私の強みである「現場に入り込み、信頼関係を構築して本音を引き出す力」と「泥臭く課題を特定する行動力」は、貴社のハンズオン型の支援スタイルと親和性が高いと考えます。机上の空論ではない、現場感のある実行支援を通じて、クライアントの持続的な成長に貢献したいと強く願っております。

5.3 【企画・マーケティング職編】「分析・戦略」を「全社変革」へ広げる

事業会社での企画経験は、コンサルタント業務と非常に近しいです。違いは「自社」か「他社」か、「部分的」か「全社的」かです。より広い視野と高い視座で経営に関わりたいという意欲をアピールします。

求められる要素:

  • データ分析力とインサイト導出能力
  • 社内調整力とプロジェクト推進力
  • 仮説構築・検証のサイクルを回した経験

【例文:メーカー経営企画から戦略コンサルタントへ】

件名:多様な業界の「勝ち筋」を描き、日本産業の再興に寄与したい

【志望理由】

変化の激しい現代において、一企業の枠を超え、クロスインダストリー(異業種連携)の視点から企業の成長戦略を描ける戦略コンサルタントを志望します。

【これまでの経験と課題感】

現職の食品メーカー経営企画部では、中期経営計画の策定や新規事業開発に従事し、市場データの分析から撤退戦を含む事業ポートフォリオの見直しを主導しました。この経験を通じ、論理的な戦略策定の重要性を学ぶとともに、自社の「業界の常識」や「社内政治」に囚われず、ゼロベースで思考することの難しさと重要性を痛感しました。外部のプロフェッショナルとして、しがらみのない客観的な視点から経営判断を支援する必要性を強く感じています。

【貴社への志望動機】

貴社(戦略ファーム)は、徹底したファクトベースの分析と、グローバルな知見に基づく先見性のある提言で知られています。特に、私が関心を寄せているサステナビリティ経営と事業成長の両立において、数多くの先駆的なプロジェクトを手掛けられている点に魅力を感じました。

【貢献のイメージ】

事業会社で培った「戦略を実行に移す際の組織の摩擦」に対する理解と、「定性・定量データの複合的な分析力」は、貴社の戦略策定フェーズにおいて、より実効性の高い提言を行うための強みになると考えています。クライアントのカウンターパートである経営企画部門と同じ言語で対話し、戦略を実行まで導く伴走者として貢献したいと考えております。

5.4 【公務員・教員・事務職編】ポテンシャルを「地頭力」と「誠実さ」で示す

ビジネス経験が特殊、または定型業務中心の場合、コンサルタントとしての適性をどう証明するかが鍵です。学習意欲の高さ、素直さ、そして業務改善への小さな取り組みを大きく膨らませてアピールします。

ポイント:

  • 事務処理能力の高さ(正確性・スピード)
  • 難解な規制やルールを読み解く力
  • 「誰かの役に立ちたい」という高い貢献意欲

【例文:自治体職員からパブリックセクター向けコンサルタントへ】

件名:行政の枠を超え、持続可能な地域社会のモデルを構築したい

【志望理由】

私は、行政の内部からでは解決しきれない複雑な社会課題に対し、民間の知見とテクノロジーを活用して解決策を提示するパブリックセクター向けのコンサルタントを志望します。

【背景】

県庁職員として5年間、地域振興や福祉政策の策定に関わってきました。法令に基づいた業務遂行には誇りを持っていますが、縦割り行政の弊害や前例踏襲の文化により、本当に必要な施策がスピード感を持って実行されない現実に歯がゆさを感じていました。「予算消化」ではなく「課題解決」を目的としたプロジェクトを推進したいと考え、転職を決意しました。

【貴社を選んだ理由】

貴社は、官公庁向けのコンサルティング実績が豊富であり、特に「スマートシティ」や「行政DX」の分野でトップランナーです。行政の現場を知る私の経験と、貴社の持つ先端ソリューションを掛け合わせることで、自治体職員がスムーズに導入でき、かつ市民サービスの向上に直結する現実的な提案が可能だと考えます。

【自己PR】

複雑な法令を解釈し、多様な利害関係者(住民、議会、事業者)の間で合意形成を図ってきた「調整力」と「忍耐力」は、コンサルティング業務においてもクライアントとの信頼構築に役立つと確信しています。未経験ではありますが、キャッチアップの早さと粘り強さには自信があります。一日も早く戦力となれるよう尽力いたします。


戦略系 vs 総合系 ファーム別・志望動機の書き分けマトリクス

一言にコンサルと言っても、「マッキンゼー」と「アクセンチュア」では求める人物像も志望動機のツボも異なります。ここを混同すると「ウチのことを理解していない」と判断されます。

1 戦略系コンサルティングファーム(MBBなど)

  • 特徴: 少数精鋭。企業のCxO(経営層)が抱える「正解のない問い」に対して、戦略を提言する。
  • キーワード: 地頭力、論理性、知的好奇心、インパクト、リーダーシップ。
  • 志望動機の書き方:
  • 「なぜ」の深掘り: なぜその課題を解決したいのか、その思考プロセスが極めて論理的である必要があります。
  • 志望理由の比重: 会社ごとの違い(Why Us)よりも、「なぜ戦略コンサルタントとして生きていきたいか(Why Strategy)」という個人の覚悟や適性が重視される傾向があります。
  • NGワード: 「研修が充実している」「チームで協力して」「手取り足取り教えてほしい」。個の力が何より求められます。

2 総合系コンサルティングファーム(Big4、アクセンチュアなど)

  • 特徴: 大規模。戦略からIT導入、業務改革(BPO)までフルラインナップで提供。チーム戦。
  • キーワード: 実行力、専門性、協調性、テクノロジー、グローバルネットワーク。
  • 志望動機の書き方:
  • 「何を」の具体性: どのインダストリー(産業)の、どのサービスライン(領域)で貢献したいかを明確にします。「何でもやります」は強みになりません。
  • Why Usの重要性: 各社ともサービス範囲が広いため、「なぜデロイトで、PwCではないのか」という差別化(カルチャー、強みのある領域)への言及が必須です。
  • チームワーク: 大規模プロジェクトが多いため、周囲を巻き込む力や協調性もアピールポイントになります。

3 IT系・特化型コンサルティングファーム

  • 特徴: 特定のソリューション(SAP、Salesforceなど)や領域(人事、医療、再生エネルギー)に特化。
  • 志望動機の書き方:
  • 専門性へのこだわり: その領域に対する深い興味と知識欲をアピールします。
  • 技術×ビジネス: 技術オタクになるのではなく、その技術を使ってどうクライアントのビジネスを良くしたいか、という視点を忘れないようにします。

避けるべき「NG志望動機」のパターン分析

どんなに素晴らしい経歴でも、以下の「地雷」を踏むと評価は急落します。提出前に必ずセルフチェックしてください。

1 「学校」と勘違いしている(Takerマインド)

  • NG例: 「貴社の充実した研修制度でスキルを身につけ、成長したいです。」「優秀な方々と働いて勉強させていただきたいです。」
  • 解説: コンサルティングファームは、クライアントから高額なフィーをもらって価値を提供する場です。「教えてもらう」姿勢の人間を採用するメリットはありません。「成長」は結果としてついてくるものであり、目的はあくまで「貢献(Contribution)」でなければなりません。
  • 修正案: 「貴社の環境で切磋琢磨することで自身のスキルを高め、それによってより大きなクライアントの課題を解決したい。」(成長を手段として語る)

2 評論家になっている(当事者意識の欠如)

  • NG例: 「現職の会社は経営方針が古く、上司も理解がないため、何もできませんでした。」
  • 解説: 他責思考(人のせいにする考え方)は、コンサルタントとして最も嫌われる資質です。クライアントの現場もまた、古い体質や抵抗勢力がいるのが当たり前だからです。そこで「ダメだ」と嘆くのではなく、「どうすれば動かせるか」を考えた経験が必要です。
  • 修正案: 「古い体質の組織において、まずは小さな成功事例を作ることで信頼を獲得し、徐々に改革の輪を広げようと努力しました。しかし、全社的な変革には外部からのアプローチが必要だと感じ〜」

3 志望理由が「コピペ」レベル(リサーチ不足)

  • NG例: 「グローバルに展開している点に魅力を感じました。」「幅広い業界に関われる点がいいと思いました。」
  • 解説: これはどのファームにも当てはまることです。「御社である理由」になっていません。
  • 修正案: 「貴社が先月発表された〇〇社との共創プロジェクトにおいて、単なるシステム導入ではなく人材育成までセットで支援されている点に感銘を受けました。私もそのような『人が変わる』変革に携わりたいと考え〜」

選考を勝ち抜くための「志望動機」磨き上げプロセス

最後に、書き上げた志望動機をブラッシュアップし、実際の面接で話せるレベルまで高める手順を紹介します。

1 「なぜ?」の5回深掘り(Why-Why分析)

書いた文章の一文一文に対して、自分で「なぜ?」とツッコミを入れます。

  • 「営業力を活かしたい」→(なぜ?)→「顧客の課題解決が好きだから」→(なぜ?)→「顧客が喜ぶ顔を見るとモチベーションが上がるから」→(なぜ?)…
    この自問自答を繰り返すことで、表面的な動機が削ぎ落とされ、あなただけの強固なコア(価値観)が露わになります。面接官の深掘り質問への対策にもなります。

2 第三者添削(客観性の確保)

自分では完璧だと思っても、他人から見ると論理が飛躍していることがよくあります。

  • 転職エージェント: 過去の合格者の傾向を知っているので、実務的なアドバイスがもらえます。
  • 友人・知人: 業界知識がない人に読んでもらい、「意味がわかるか」「納得できるか」を確認します。誰が読んでもわかる平易な言葉で、かつ論理が通っているのが理想です。

3 面接での「語り」への接続

志望動機書はゴールではなく、スタートです。面接では、書面に書かれた内容を起点に、さらに深い対話が行われます。

  • 一貫性: 書類に書いたことと、面接で話す内容に矛盾がないようにします。
  • エピソードの準備: 書類には書ききれなかった具体的な苦労話や、成功の瞬間の情景を語れるように準備しておきます。数字や固有名詞を交えて話すことで、リアリティが増します。

結びに:コンサルタントを目指すあなたへ

コンサルティング業界への転職は、あなたのキャリアにおける大きな転換点となるでしょう。それは単に年収が上がるとか、ステータスが得られるといったこと以上に、「物事の本質を見抜き、解決する力」という一生モノのスキルを手に入れることを意味します。

志望動機の作成は、苦しい作業かもしれません。しかし、これほど深く自分自身と向き合い、過去を棚卸しし、未来を描く機会はそうそうありません。このプロセスを真剣にやり抜いた経験こそが、あなたがプロフェッショナルなコンサルタントとして活躍するための第一歩となります。

あなたのこれまでの経験(ドッツ)が、論理という糸で結ばれ、志望動機という一つの線(ストーリー)になったとき、採用担当者の心は必ず動きます。自信を持って、あなたの「ロジック」と「パッション」をぶつけてきてください。応援しています。

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参考URL

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Will Can Mustとは? フレームワークを活用するメリットや目標設定方法を解説


●監修者

bloom株式会社 代表取締役 林 栄吾

慶應義塾大学を卒業後、株式会社ベイカレント・コンサルティングに入社。 事業戦略の策定・実行支援を中心としたコンサルティング業務に従事。

同社ではアカウントセールスマネージャーとして新規顧客開拓、メンバー育成を担う傍ら、採用責任者・人事責任者を歴任し、戦略コンサルティングと人事・採用の両面で豊富な実績を持つ。

独立後はbloom株式会社を設立。代表取締役として、コンサルティングと人事で培った知見を基に、不動産業および人材紹介業を統括している。