サマリー
2026年の転職市場において最も注目度の高い職種の一つである「ITコンサルタント」について、その仕事内容、SE(システムエンジニア)との明確な違い、そして求められるスキルやキャリアパスを徹底解説します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速や「2025年の崖」問題への対応により、ITコンサルタントの求人数は増加の一途を辿っています。年収アップや上流工程へのキャリアチェンジを目指すエンジニアの方、あるいは未経験からコンサルティング業界へ挑戦したい方に向けて、業界の最新動向や採用のポイント、実務のリアルな詳細を網羅しました。この記事を読むことで、ITコンサルタントという職業の全貌を理解し、自身のキャリア戦略を具体的に描くことができるようになります。
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ITコンサルタントとは?その役割とミッション
ITコンサルタントとは、一言で言えば「経営とITの架け橋となり、クライアント企業の課題を解決に導くプロフェッショナル」です。
現代のビジネスにおいて、IT(情報技術)は単なる効率化のツールではなく、経営戦略の中核を担う存在です。しかし、多くの企業では「どのような技術を導入すれば経営目標を達成できるのか」「老朽化したシステムをどう刷新すべきか」といった課題に直面しています。ITコンサルタントは、こうした企業の経営層や事業責任者に対して、第三者の視点から最適なIT戦略を提案し、システムの導入から定着までを支援します。
経営課題をITで解決する
ITコンサルタントの最大のミッションは、システムの導入そのものではなく、その先にある「ビジネスの成功」を実現することです。「売上を向上させたい」「コストを削減したい」「業務プロセスを標準化したい」といった経営レベルの要望を噛み砕き、それを実現するためのITソリューションを策定します。
プロジェクトを成功へ導く伴走者
提案だけで終わるケースは稀で、多くの場合はその後のシステム開発プロジェクトにおいてPMO(Project Management Office)として参画し、予算管理、進捗管理、品質管理、リスク管理などを担います。クライアント企業(発注側)と開発ベンダー(受注側)の間に立ち、プロジェクトを円滑に推進する調整役としての機能も果たします。

ITコンサルタントとSE(システムエンジニア)の決定的な違い
転職を検討されているエンジニアの方から最も多く寄せられる質問が、「ITコンサルタントとSEは何が違うのか?」という点です。両者は密接に関わっていますが、責任を持つ領域や求められる視点に明確な違いがあります。
担当工程の違い:上流工程のさらに「上」へ
一般的なSEの担当領域は、要件定義から基本設計、詳細設計、プログラミング、テスト、導入までの一連のシステム開発工程です。これに対し、ITコンサルタントは「要件定義」よりもさらに上流の工程を担当します。
- SEの領域(システム構築):
「決まった要件に基づいて、いかに高品質なシステムを納期通りに作るか」に主眼が置かれます。 - ITコンサルタントの領域(企画・構想策定):
「そもそもシステムを作る必要があるのか」「どのようなシステムを作れば投資対効果(ROI)が出るのか」「現状の業務フロー(As-Is)をどうあるべき姿(To-Be)に変えるか」といった、プロジェクトの立ち上げ段階から関与します。
視点の違い:「技術」か「ビジネス」か
SEは「技術的実現性(Feasibility)」を重視します。「この機能は現在の技術スタックで実装可能か」「パフォーマンスに問題はないか」といった視点です。
一方、ITコンサルタントは「ビジネス価値(Business Value)」を重視します。「この機能に数千万円の投資をする価値があるか」「現場の業務効率はどれくらい上がるか」という経営者視点で判断を下します。そのため、時にはクライアントの要望であっても「費用対効果が低い」としてシステム化を見送る提案をすることもあります。
クライアントとの関わり方
SEは主にクライアントの情報システム部門や現場担当者とやり取りを行いますが、ITコンサルタントは経営層(社長、役員)や事業部長クラスと直接対話する機会が多くなります。そのため、技術用語を使わずにビジネス用語で説明するコミュニケーション能力が必須となります。
詳細な仕事内容と業務フロー
ITコンサルタントの業務は多岐にわたりますが、プロジェクトの流れに沿って具体的なタスクを見ていきましょう。
① ヒアリング・現状分析(アセスメント)
プロジェクトの初期段階では、クライアント企業の抱える課題を洗い出します。
- 経営層インタビュー: 経営戦略やビジョンのヒアリング。
- 現場ヒアリング: 業務担当者へのインタビューや実地調査を行い、現行業務のボトルネックを特定します。
- データ分析: 既存システムのログや財務データを分析し、客観的な事実に基づいた課題抽出を行います。
② 戦略策定・ソリューション提案
抽出した課題に対し、解決策を提示します。
- IT戦略立案: 中期経営計画に基づいた3〜5年のITロードマップの策定。
- 業務要件定義(要件定義の前段階): 新しい業務フローの設計。
- RFP(提案依頼書)作成支援: 開発ベンダーを選定するための要件資料を作成します。
- ベンダー選定: 複数のベンダーからの提案を比較検討し、最適なパートナー選びを支援します。
③ プロジェクトマネジメント(実行支援)
開発フェーズに入ると、開発自体はSIerやベンダーが行いますが、ITコンサルタントはプロジェクト全体を管理する立場に回ります。
- 進捗・課題管理: スケジュールの遅延や発生した課題への対応策を検討します。
- 利害関係者調整: 経営層、ユーザー部門、システム部門、開発ベンダーなど、立場の異なる関係者の意見を調整し、合意形成を図ります。
- チェンジマネジメント: 新システム導入に対する現場の抵抗を和らげ、定着化に向けたトレーニングやマニュアル整備を行います。
ITコンサルタントの種類と専門領域
「ITコンサルタント」と一口に言っても、扱うテーマや領域によって専門性が分かれます。自身の経験やスキルがどこに活かせるかを確認しましょう。
ERP・基幹系コンサルタント
SAP、Oracle、Microsoft DynamicsなどのERP(統合基幹業務システム)パッケージの導入を支援します。会計、人事、販売、生産管理など、企業の根幹となる業務知識と、パッケージ製品への深い理解が求められます。
SCM・CRM領域コンサルタント
- SCM(サプライチェーンマネジメント): 物流、調達、生産の最適化を行い、在庫削減やリードタイム短縮を実現します。
- CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント): Salesforceなどを活用し、営業プロセスの効率化や顧客満足度の向上を支援します。
DX・デジタル戦略コンサルタント
AI、IoT、ビッグデータなどの最新デジタル技術を活用し、新規事業の創出やビジネスモデルの変革(DX)を支援します。単なるツール導入ではなく、顧客体験(UX)の設計やアジャイル開発の推進など、スピード感と革新性が求められる領域です。
セキュリティ・インフラコンサルタント
クラウド(AWS/Azure/GCP)への移行計画の策定や、サイバーセキュリティ対策の強化、ゼロトラストネットワークの構築など、ITインフラとセキュリティに特化した支援を行います。
2025年以降の市場動向と将来性
これからITコンサルタントを目指す方にとって、業界の将来性は気になるポイントです。2025年現在の市場トレンドを解説します。
「2025年の崖」とレガシーシステム刷新
経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」問題により、多くの日本企業が老朽化したレガシーシステムの刷新を急ピッチで進めています。特にSAPの保守サポート期限(2027年問題)も重なり、基幹システムの移行プロジェクトが各地で進行中です。これに伴い、大規模プロジェクトを回せるPMOやERPコンサルタントの需要は爆発的に増加しており、供給が追いついていない状況です。
生成AIの実務適用と業務変革
2023年以降に普及した生成AIは、企業の業務プロセスを根本から変えようとしています。現在は「導入実験(PoC)」のフェーズを超え、「実業務への本格実装」が進んでいます。コンサルタントには、AIを活用してどの業務を自動化し、組織をどう再編するかという具体的な業務設計力が求められています。
内製化支援のニーズ拡大
従来、システム開発を外部に丸投げしていた企業が、ビジネスの変化に即応するために「内製化」へと舵を切っています。しかし、社内に開発ノウハウがないケースが多いため、内製化組織の立ち上げ支援や、アジャイル開発プロセスのコーチングができるコンサルタントへの引き合いが強まっています。
年収事情と待遇
ITコンサルタントは、高年収が期待できる職種です。責任は重いですが、その対価としての報酬は業界トップクラスです。
役職別・年齢別の平均年収イメージ
- アナリスト(20代前半・未経験): 500万〜650万円
基礎的なリサーチや資料作成が主な業務ですが、一般的なSEよりも高いスタートラインとなることが多いです。 - コンサルタント(20代後半〜30代前半): 700万〜1,000万円
プロジェクトのメイン担当として自律的に動けるレベル。ここで年収1,000万円の大台に乗るケースも珍しくありません。 - マネージャー(30代後半〜): 1,000万〜1,500万円
プロジェクト全体の責任者として、予算管理やメンバー育成も担います。 - シニアマネージャー以上: 1,500万〜2,000万円以上
複数のプロジェクトを統括し、ファームの経営にも関与します。
大手コンサルティングファームでは、成果に応じた賞与(ボーナス)の比率が高く、実力次第で20代・30代でも大幅な年収アップが可能です。
未経験・SEからITコンサルタントへの転職
エンジニアからのキャリアパス
システム開発の経験があるエンジニアやSEは、ITコンサルタントへの転職において非常に有利です。「システムがどう作られるか」を知っていることは、実現可能な提案をする上で大きな武器になるからです。
特に、以下の経験がある方は高く評価されます。
- 上流工程の経験: 要件定義や基本設計の経験。
- 顧客折衝経験: クライアントへの提案や調整業務の経験。
- リーダー経験: 小規模でもチームをまとめた経験。
未経験からの挑戦
IT業界未経験であっても、事業会社での企画業務や特定業務(経理、人事、物流など)の深い知識があれば、その知見を活かしてコンサルタントに転身することが可能です。ポテンシャル採用を行っているファームも多く、論理的思考力やコミュニケーション能力が重視されます。
未経験から目指す場合、以下のような資格取得もアピール材料になります。
- 中小企業診断士
- PMP(Project Management Professional)
- ITストラテジスト
- 簿記(会計領域を目指す場合)
転職成功のポイント
ITコンサルタントへの応募にあたっては、「なぜコンサルタントなのか」という志望動機を明確にすることが重要です。「上流工程をやりたい」というだけではなく、「クライアントの経営課題に踏み込んで解決したい」「ビジネス視点でITを扱いたい」といったマインドセットを伝える必要があります。
また、コンサルティングファームの選考では「ケース面接」と呼ばれる独自の試験が課されることがあります。「あるカフェの売上を2倍にする施策を考えよ」といった課題に対し、論理的に思考し、答えを導き出すプロセスが評価されます。事前の対策が不可欠です。
まとめ
ITコンサルタントは、企業の未来を左右する重要な決断を支える、非常にやりがいのある仕事です。激務と言われることもありますが、それ以上に得られるスキルや経験、そして市場価値の向上は計り知れません。
現在、多くの企業がDXを推進するために優秀なITコンサルタントを求めています。大手ファームから新興のブティックファームまで、採用の門戸はかつてないほど広がっています。
「技術力だけでなく、ビジネス力も身につけたい」「より経営に近い場所で仕事をしたい」と考えている方は、ぜひITコンサルタントというキャリアを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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参考URL
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⚫︎監修者
bloom株式会社 代表取締役 林 栄吾
慶應義塾大学を卒業後、株式会社ベイカレント・コンサルティングに入社。 事業戦略の策定・実行支援を中心としたコンサルティング業務に従事。
同社ではアカウントセールスマネージャーとして新規顧客開拓、メンバー育成を担う傍ら、採用責任者・人事責任者を歴任し、戦略コンサルティングと人事・採用の両面で豊富な実績を持つ。
独立後はbloom株式会社を設立。代表取締役として、コンサルティングと人事で培った知見を基に、不動産業および人材紹介業を統括している。