サマリー
現在の国内コンサルティング市場は、複雑化する経営課題を背景に、かつてないほどの追い風を受けて急成長を続けています。2023年に市場規模が2兆円の大台を突破し、2030年には約2.5兆円規模に達するという予測が立てられており、特にITコンサルティング領域がその成長を強力に牽引しています。主要なコンサルティングファーム各社は、生成AI(人工知能)を単なる業務効率化ツールではなく、ビジネスモデルを根本から変えるゲームチェンジャーとして位置づけ、巨額の投資を行っています。
転職市場においては、依然として「売り手市場」が継続していますが、採用の基準は「量の確保」から「質の追求」へと大きくシフトしています。2026年に向けて、AIと専門業務知識を兼ね備えたハイブリッド人材への需要が爆発的に高まっており、従来のロジカルシンキングだけでなく、対話を通じた合意形成力や、現場の力学を読み解く洞察力が不可欠な要素となっています。また、働き方においても対面コミュニケーションの価値が再評価され、完全リモートからオフィス出社を組み合わせたハイブリッドワーク、さらには「対面回帰」への動きが加速している点も、求職者が注目すべき重要な変化です。
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拡大を続ける日本のコンサルティング市場と成長要因
日本のコンサルティング業界は、マクロ経済の不確実性が高まる中でも、企業の持続的な成長を支援するパートナーとしてその存在感を大きく強めています。国内のビジネスコンサルティング市場は、2024年に前年比10.8%増の7,987億円に達し、2025年以降も2桁近い成長が続くと予測されています。
市場成長の背景には、いくつかの決定的な要因が存在します。第一に、大企業を中心としたDX需要の継続です。レガシーシステムの刷新やクラウド移行に加え、自律的に業務を遂行する「エージェント型AI」の導入が加速しており、これに伴う組織の再設計や業務プロセスの変革に対する支援ニーズが市場を押し上げています。第二に、深刻な労働力不足への対応です。省人化や業務効率化を実現するためのシステム導入や、人的資本経営に基づいた組織改革を外部の専門家に依頼する企業が増えています。
さらに、サステナビリティ(ESG経営)への対応も、企業の競争力を左右する経営戦略の核へと進化しました。カーボンニュートラルの実現に向けた戦略立案や、サプライチェーンの透明化に向けたデータ基盤の構築など、専門的な知見を求める声が絶えません。加えて、日本企業の海外進出拡大に伴うクロスボーダー案件の増加や、商社・SIerといった他業界からのコンサルティング事業への参入が、業界全体のパイを大きく広げています。

主要コンサルティングファームの売上・業績比較
コンサルティングファームの規模と実力を測る指標として、売上高と成長率は極めて重要です。グローバルに展開する大手総合系ファームと、国内市場で強固な基盤を持つ日系ファーム、それぞれが記録的な業績を収めています。
グローバルファームの最新業績
アクセンチュアやデロイト、PwCといったグローバル・メガファームは、圧倒的なリソースを背景に増収増益を続けています。アクセンチュアの2025年8月期通期業績は、売上高が前期比7.4%増の696億ドル、営業利益は6.6%増の102億ドルに達しました。同社はテクノロジーを活用したDX支援において業界をリードしており、全社員にAIエージェントを導入するなど、自社の生産性向上にも積極的に取り組んでいます。
デロイトについても、2025年度のグローバル収益が前年比4.8%増の705億米ドルを記録し、その中でもコンサルティングサービスが収益の大きな柱となっています。PwCコンサルティングを含むPwC Japanグループも、2025年度の業務収益が3,086億円に達しており、クライアントの複雑な経営課題に対して多角的な専門家チームによる支援を提供しています。
日系ファームの躍進と収益性
日系コンサルティングファームも、独自のビジネスモデルと高い専門性で市場シェアを拡大しています。野村総合研究所(NRI)は、2025年3月期の売上高を7,576億円、事業利益を1,251億円と予測しており、売上・利益ともに過去最高を更新する見通しです。特に国内事業の営業利益率が20%を超えるなど、極めて高い収益性を維持している点が特徴です。
また、日系総合ファームとして急成長を遂げているベイカレント・コンサルティングは、2025年2月期の売上収益が前年比23.6%増の1,160億円に達し、EBITDAマージンも高い水準を計画通りに推移させています。同社は2025年2月期の第3四半期累計ですでに1,000億円の大台を突破しており、その成長スピードは業界内でも際立っています。

最新のランキングから読み解く人気と待遇の動向
求職者にとって、どのファームが「人気」であり、どの程度の「年収」が期待できるかは、キャリア選択における最大の関心事の一つです。最新のランキングデータは、単なるブランド力だけでなく、実質的な報酬水準や成長機会を反映しています。
総合人気企業ランキング
転職市場における人気ランキングでは、アクセンチュアが不動の1位を維持しており、デロイト、NRIがそれに続いています。これらのファームは、教育体制の充実や多様なプロジェクトへの参画機会、そして高い市場価値を得られるというイメージが求職者に強く支持されています。

推定平均年収ランキング
年収面では、依然として戦略系コンサルティングファームがトップを独占していますが、日系大手のNRIやベイカレント、さらには新興のYCPといったファームがそれに肉薄する高待遇を提示しています。

役職別に見ると、戦略系ファームでは20代でマネージャーに昇進すれば年収2,000万円に達することも珍しくありません。総合系ファームにおいても、マネージャークラスになれば1,000万円から1,800万円程度の年収が一般的となっており、他業界と比較しても極めて高い報酬水準が維持されています。
生成AIが変えるコンサルティングの定義
2025年から2026年にかけて、業界最大の影響を及ぼしているのが「生成AI」の本格普及です。これは単なるツールの導入に留まらず、コンサルタントが付加価値をどこで見出すべきかという根本的な問いを業界全体に投げかけています。
主要ファームの具体的なAI戦略
各ファームは、生成AIを前提とした新しいサービス開発に凌ぎを削っています。
アクセンチュアは、独自のAIプラットフォーム「Accenture AI HUB Platform」を提供し、企業の独自データとAIを安全に連携させることで、AIを前提としたビジネス変革を強力に推進しています。
PwCコンサルティングは、戦略、法務、税務といったグループ全体の専門性を結集した生成AI専門のタスクフォースを組成し、ワンストップでクライアントの課題を解決する体制を整えています。
デロイト トーマツ コンサルティングは、2024年夏に生成AIの最新技術を体験できる拠点「AI Experience Center」を開設したほか、企業独自の用語やデータを理解する高精度な「多機能RAGアプリケーション」を開発し、具体的なソリューション提供で他社をリードしています。
KPMGコンサルティングは、特に金融や経理といった専門業務に特化したAIエージェントの開発に強みを持ち、セキュアな環境での概念実証(PoC)から実導入までのロードマップ策定を支援しています。
コンサルタントに求められる新たな「人間力」
AIの普及により、これまで若手コンサルタントが担ってきた「情報の整理」や「基本的な構造化」といった業務はAIに代替されつつあります。その結果、次世代のハイクラス人材をいかに育成するかが大きな課題となっています。
最新の選考現場、特にMBB(マッキンゼー、BCG、ベイン)やBIG4(デロイト、PwC、EY、KPMG)では、AIが出せるような教科書的な正解を示すだけでは、もはや評価の対象になりません。現在のケース面接で問われているのは、面接官との「対話を通じた合意形成力」です。AIが提示する論理の矛盾を突き、現場の「人の動き」や「心理的バイアス」を踏まえた、実行可能な解像度の高い解を導き出す能力が、AI時代を生き抜くための真の専門性とされています。
サステナビリティと人的資本経営へのシフト
企業の持続可能性を支える支援領域も、2024年以降、大きく進化しています。サステナビリティ(GX)と人的資本経営は、単なるコンプライアンス対応ではなく、企業の資本コストを下げ、ブランド価値を高めるための戦略的投資と位置づけられています。
グリーン・トランスフォーメーション(GX)の深化
GX支援において、アクセンチュアはサステナビリティを「デジタルの次にくるメガトレンド」と定義し、ネットゼロへの移行支援や、データに基づく二酸化炭素排出量の可視化を支援しています。サステナビリティ評価が高い企業は、低い企業に比べて利益率が3.7倍高いという調査結果も出ており、利益貢献に直結する支援が主流となっています。PwCは、TCFD対応や自然資本(生物多様性)への配慮、人権への配慮といった、より広範なESG課題への対応を強化しています。
人的資本経営と人事・組織改革
2023年3月期から上場企業に課された人的資本情報の開示義務化を受け、人事・組織コンサルティングの需要が急増しています。単なる制度設計に留まらず、AI時代の到来を見据えた「人材要件の再定義」が喫緊の課題となっています。
ジェイ エイ シー リクルートメントの田崎ひろみ氏は、従来のメンバーシップ型人事制度では優秀な人材の獲得や流出防止が難しくなっていると指摘しており、専門性を重視したジョブ型人事への移行や、従業員のキャリア自律(キャリアオーナーシップ)を促す仕組み作りが多くの企業で進められています。また、リンクアンドモチベーションのように、全社員の「AI活用人材化」を掲げ、自ら組織変革のロールモデルとなろうとする企業も現れています。
転職市場のトレンド:採用の「量」から「質」への転換
コンサルティング業界の採用市場は、依然として活発ですが、その性質は2024年を境に大きく変化しています。これまでの「コンサルタントの頭数を増やす」フェーズから、特定の領域において「高い専門性を持ち、即戦力として価値を発揮できる人材を選ぶ」フェーズへと移行しています。
2026年に向けた採用のキーワード
今後、転職市場で価値が高まる人材には共通の特徴があります。
まず、AI×業務知識のハイブリッド人材です。単にAIに詳しいだけでなく、それを特定の業務(財務、サプライチェーン、人事など)にどう適用し、ビジネスモデルを変革できるかを語れる人材が求められています。次に、DXの内製化支援を担えるプロジェクトマネジメント経験者です。クライアント企業自身がテクノロジーを使いこなせるよう、コーチングや組織能力の再設計を行える人材は非常に希少価値が高いと言えます。
さらに、サイバーセキュリティやリスクマネジメント領域の専門家も需要が止まりません。生成AIの導入に伴う情報漏洩リスクや著作権の問題、マネーロンダリング対策など、高度な専門スキルを持つ人材は極めて有利な条件で採用されています。
転職サイトとエージェントの活用状況
効率的な転職活動を進める上で、どのプラットフォームを活用するかは非常に重要です。dodaやマイナビエージェントといった大手総合サイトが求人数において優位性を持つ一方で、ハイクラス層やコンサル業界特化型の支援では、ビズリーチやJACリクルートメントが高い評価を得ています。
特にコンサルタントを目指す方にとって、単なる求人紹介ではなく、各ファームのカルチャーや選考のポイントを熟知した専門エージェントの存在は欠かせません。JACリクルートメントやアンテロープ、コンコードエグゼクティブグループといったエージェントは、戦略的な採用パートナーとして、求職者の長期的なキャリア形成を支援しています。
コンサルティング業界の働き方と「対面回帰」の波
コロナ禍で一気に普及したリモートワークですが、2025年現在は「対面によるコミュニケーション」の価値が再評価され、働き方に大きな変化が生じています。
オフィス出社の実態とハイブリッドワーク
グローバルでは、JPモルガン・チェースやAT&Tのようにフル出社へと回帰する企業が現れていますが、日本のコンサルティング業界においては、週3日程度の出社を基本とするハイブリッドワークが主流となっています。
調査によると、従業員の70%以上が「週3日以下の出社」を希望しており、通勤時間の負担軽減や育児・家事との両立を重視しています。一方で、コンサルティング業務の本質である「泥臭い調整力」や「人を動かす推進力」は、対面でのコミュニケーションがあってこそ磨かれるという考え方も根強く、チームビルディングやクライアントとの信頼関係構築のために出社頻度を増やすプロジェクトも増えています。
各ファームは、出社を強制するのではなく、フリーアドレス制の導入や、ランチ交流会の開催、始業時刻の変更(時差出勤)を認めるなど、従業員の出社意欲を高める工夫を凝らしています。求職者にとっては、志望するファームや特定のプロジェクトチームがどのようなワークスタイルを採用しているかを事前に確認することが、入社後のミスマッチを防ぐ鍵となります。
将来的な課題とコンサルタントの市場価値
コンサルティング業界の将来性は依然として高いものの、いくつかの構造的な課題も浮き彫りになっています。
一つは、コンサルティング業務の「コモディティ化」です。かつては一握りのエリートのみが知るフレームワークや手法が価値を持っていましたが、現在ではそれらの多くが一般化し、ネット上やAIからも入手可能となっています。これにより、各ファーム間のサービス差異が薄れ、単なる知識の切り売りでは高い単価を維持できなくなっています。
二つ目は、人材の「選択と集中」です。DXバブル期に行われた過剰採用の反動もあり、現在は「誰を採るか」だけでなく「どう活躍させ、どう定着させるか」という人的資本の最大化が企業の最優先事項となっています。採用側は、候補者が「自社で働き続ける理由(リテンション)」を明確に持っているかを厳しく見ています。
しかし、これらの課題は、高い能力を持つ個人にとってはむしろ追い風です。AIを使いこなし、複雑なステークホルダー間の調整を行い、泥臭く現場を動かして「結果」を出せるコンサルタントの市場価値は、今後さらに高まっていくでしょう。定型業務が自動化されることで、人間はより本質的でクリエイティブな課題解決に集中できる時代が到来しています。
結論
日本のコンサルティング業界は、2026年に向けても堅調な成長が見込まれる、極めてエキサイティングな市場です。売上高1,000億円を超える巨大ファームから、特定の領域でエッジを効かせるブティック系ファームまで、多種多様なプレイヤーがしのぎを削っており、求職者にとっては選択肢が非常に豊富です。
成功するコンサルタントのキャリアを歩むためには、単に年収ランキングやブランド力だけでファームを選ぶのではなく、以下の3つの視点を持つことが重要です。
第一に、「AIとの協働能力」です。自らの業務をAIで拡張し、より高い付加価値をクライアントに提供できるスキルを身につけること。
第二に、「実行と成果へのコミットメント」です。戦略を立てるだけでなく、現場に寄り添い、変革を完遂させる執着心を持つこと。
第三に、「専門性と人間力の融合」です。特定の業界知識や技術力に加え、対話を通じて人を動かし、組織的な合意を形成する力を磨くこと。
コンサルティングという仕事は、企業の、そして社会の変革を最前線で支援できる稀有な職業です。激変する環境を楽しみ、自らも進化し続ける意欲を持つ方にとって、今のコンサルティング業界は、自身の市場価値を大きく高める最高のフィールドと言えるでしょう。
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⚫︎監修者
bloom株式会社 代表取締役 林 栄吾
慶應義塾大学を卒業後、株式会社ベイカレント・コンサルティングに入社。 事業戦略の策定・実行支援を中心としたコンサルティング業務に従事。
同社ではアカウントセールスマネージャーとして新規顧客開拓、メンバー育成を担う傍ら、採用責任者・人事責任者を歴任し、戦略コンサルティングと人事・採用の両面で豊富な実績を持つ。
独立後はbloom株式会社を設立。代表取締役として、コンサルティングと人事で培った知見を基に、不動産業および人材紹介業を統括している。