1.不動産アセットマネジメント(AM)とは
投資家様から投資いただいたお金で不動産(アセット)を取得し、運用期中で収益をUP・費用を削減し、不動産を売却(売却益)して、投資家様に元本+配当をリターンすることで、投資家様の利益を最大化することがお仕事内容で
す。期中のインカムゲイン(運用益)を最大化することで、不動産としての利回りが向上し、それがキャピタルゲイン(売却益)に跳ね返ることでリターンが最大化されます。
あらゆる関係者(管理会社、金融機関、弁護士、会計士等)を取りまとめ、一つの事業として推進させていくことが役割です。
仕事内容としては多角的な視点をもって物事を考えることが大切なため、難易度の高い部分もあり、不動産AM会社に勤めている方の年収は、他の不動産の仕事と比べても高い傾向にあります。
2.不動産AMの職種別の仕事内容
不動産AMには物件を取得し、運用して、売却するまでにそれぞれ役割が与えられております。AM会社によっても部署ごとの呼び方も様々です。
取得から売却までを一貫して行うブティック系の不動産AM会社もありますが、稀なケースです。AUM(預かり資産残高)が500億円程度を超えてきている
AM会社では、部署を細分化していきます。更に2000億円を超えてくるともう一段会社として大きくなってきており、更に部署の細分化が進んでおります。
AM職種別の働き方の違いついては以下の記事(リモートワークの有無なども記載しております)をご参照ください。
https://bloom-job.com/assetcareer-fudousanam-remotework/
■アクイジション(取得業務)
物件の取得担当であるアクイジション担当はアクイジとも略されることがよくあります。
・不動産仲介会社から物件情報をもらって、その物件の収支(UW=アンダーライティング)を確認します。
・購入基準(クライテリア)にあってきそうな物件であれば購入申込書(LOI)を提出して、売主から売渡承諾(LOA)を受領します。
・物件の詳細調査(DD=デューデリジェンス)をする。具体的には鑑定評価(AR)は物件の遵法性のチェック等のエンジニアリングレポート(ER)を取得して、問題ないことを確認します。
・ノンリコースローンのレンダーとやりとりもしながらお金を借り、投資家からもエクイティを拠出してもらう
・物件の諸条件をクロージングして物件の取得が完了
■期中運用AM~ディスポジション(売却業務)
物件の運用担当である期中の担当者は期中AMとも略されることがよくあります。
・PMとの日々のやり取り(週報、定例、リーシング、賃料改定、修繕・CAPEX進捗等)の中で不動産のバリューアップをしていきます。
・信託受託者とのやり取り(支払い指図、押印指図、信託決算等)の中で、物件の所有者である信託銀行への指図や要求にこたえていきます。
・レンダーとのやり取り(コベナンツ(LTV,DSCR)管理等)の中で、物件の収益水準が危険水準に達していないかを確認しながら運用していきます。
・投資家とのやり取り(BP作成、KPI報告(稼働率や賃料単価等)、投資家定例、現金分配等)の中で、投資家のニーズに答え、満足度を向上させ、最終的には次の投資を促します。
・弁護士とのやり取り(期中における揉め事の相談やドキュメンテーション)の中で、除外できるリスクは除外し、安全に不動産ファンドの運営を進めていきます。
・会計とのやり取り(SPCの決算確認等)の中で、簿価と実際の投資家への現金の分配の違いも理解し、投資家に説明しながら進めていきます。
・売却業務(仲介選定からクロージングまで一貫して)を通して、今まで期中担当として高めてきた不動産価値の集大成として、高値で売却できるように不動産仲介会社とうまく連携しながら売却を進めていきます。
3.不動産AMとして利益を最大化するためには
不動産の利益を最大化するには売上を上げるか、費用を下げるかしかありません。
不動産の最大の売上は賃料の安定(稼働率の向上)と賃料の上昇(賃料交渉)にあります。これを叶えるためには管理会社(いわゆるPM)にうまく指示を出し動かしていく必要があります。
不動産回りの知識もある一定求められますが、どのような指示の出し方をすると人は動いてくれるのか、その人の特性を見極めて指示の言い方を変えるなどがマネジメント力も必要です。
よくない例としては不動産AMが不動産PMに対してその立場を利用して高圧的に、一方的に指示を出してモチベーションを落としてしまうケースです。現場を支えてくれている不動産PM
に敬意を払いながら不動産AMは仕事をする必要があります。
また、不動産の費用を削減するために、例えばBMフィー(ビルメンテナンスコスト)の見直しをしたりもします。エレベーターがフルメンテナンス契約になっているところをPOGに切り替えたりして
仕様を変更したり、清掃費用自体を安くできないか交渉したり、ビルのマットをリースから買取を進めランニングコストを落とします。
こうして不動産利益の最大化をしていき、期中の収益を向上させ、最終的には売却価格を上げ、プロジェクト利益の最大化を図ります。
4.不動産AMの仕事を通して身につく5つの力とは
① 多角的な検討とそれに基づく説明責任
→よりよい判断をするために可能性を追求する仕事。そのため、多方面に気づくことが大切。そのうえで、投資家にどうしてその判断をしたか説明できるようにしておく
ex)賃料を上げたいテナントに対して、期中でFRを上げたりして、賃料UPを目指していた。テナントから財務諸表を開示してもらい、CFが悪化していたので一部敷金を返す作戦を実行。なぜその判断をしたのかを明確にしておく。
② 数字的な根拠を持った提案そのための分析力
→投資家が合理的に判断するために、投資家も上の投資家に説明するため数字的な根拠(定量)が求められる。
ex)セットアップオフィス(内装や家具付きのオフィス)に積極的に投資したい投資家。セットアップオフィスはベンチャー企業等も多く、成長性が高い。そのため平均入居期間が短い。データはどこから持ってくるか考えてそのデータを分析し、提案する。
③ リスクを考えるが、そのうえでリターンを取りにいくビジネスジャッジ力
→時に不動産は人命にもかかわる(例えば火災)アセットである。遵法性に関わるところには特に気を配らなければならないが、
常にリターンとのせめぎ合いです。
ex)物件の消防設備点検で軽微な指摘があった。それでも明日火災が起きてしまったら責任が問われる。いち早く修繕の発注をしなければならない一方で、多額の修繕見積には気を配る必要がある。相見積もりの業者が見積を出すのが遅いため、すぐに発注してしまった方がいいのか。
④ プロジェクトマネジメント力
→同時並行で色々な案件を進行させているため、案件の進捗管理が重要になる。中には大きな案件もある
ex)今年度までに消化しないといけないCAPEX(大規模修繕などの資本的支出のこと)予算がある。効果的な投資対象(エントランス改修)を選定し、工事業者の選定、VE、価格決定、工期のモニタリング、支払いまで滞りなく進める。
⑤ 人を動かす力(相手に合わせた言い方・対応がファンドを動かす原動力になるため)
→たくさんの関係者をとりまとめる仕事であるので調整力やバランス感覚が必要である。特にPMとの関わりが強く、どのようにしたら気持ちよく働いてくれるか、言い方にも気を付ける。時には怒る。
ex)週報の期日を守らないPMがいた。その方がまじめなタイプの人であれば、むしろいつもありがとうございますという感謝を入れながら指摘すればよいなど。人を見て、対応・言い方を変えて、不動産から生まれる収益を最大化させる
不動産アセットマネジメントの転職、中途採用の際にはぜひbloom株式会社にお声かけください。