サマリー
コンサルティング業界への転職を検討する際、「戦略コンサル」と「総合コンサル」のどちらを選ぶべきか迷う方は少なくありません。本記事では、両者の違いを年収・働き方・キャリアパスの3つの観点から徹底比較します。戦略コンサルは経営層への提言に特化し、高年収ですが激務な傾向があります。一方、総合コンサルは幅広い業務領域をカバーし、IT系やエンジニア出身者も活躍できる環境です。未経験からの転職可能性や、入社後のキャリア形成、求人の探し方まで、転職支援の現場で得た知見をもとに実践的な情報をお届けします。
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コンサルティング業界の全体像
コンサルティング業界は、企業が抱える経営課題や事業上の問題に対して専門的な知見を提供し、解決へと導く支援を行う業界です。近年、デジタル化やDX推進の加速により、コンサルティングファームへの需要は急速に高まっています。
業界全体を大きく分類すると、「戦略系コンサルティングファーム」と「総合系コンサルティングファーム」に分けられます。この2つは、提供するサービスの範囲や深さ、クライアントとの関わり方、そして働き方において大きな違いがあります。
転職市場においても、この違いを理解することは極めて重要です。なぜなら、求められるスキルや経験、入社後のキャリアパス、そして年収水準まで、大きく異なるからです。

戦略コンサルとは
特徴と業務内容
戦略コンサルタントは、企業の経営層に対して、事業戦略や成長戦略といった経営の根幹に関わる提言を行います。「会社の今後の方向性をどう定めるか」「新規事業に参入すべきか」「M&Aを実行すべきか」といった、企業の命運を左右する意思決定をサポートするのが主な役割です。
プロジェクト期間は数ヶ月程度が一般的で、少数精鋭のチームで高度な分析と提案を行います。クライアントは大企業の経営者やCレベルの役員が中心となり、直接対話しながら戦略を練り上げていきます。
代表的な戦略系ファームには、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ(BCG)、ベイン・アンド・カンパニーなどがあります。
求められる人材像
戦略コンサルでは、論理的思考力が何よりも重視されます。複雑な経営課題を構造化し、データに基づいて仮説を立て、説得力のある提案にまとめる能力が求められます。
また、クライアントの経営陣と対等に議論できるコミュニケーション能力も不可欠です。プレゼンテーション力や資料作成スキルも高いレベルが要求されます。
採用においては、学歴や職歴が重視される傾向があり、トップティアの大学出身者や、金融機関・大手事業会社での経験者が多く活躍しています。ただし、未経験からの転職も不可能ではなく、ポテンシャル採用を行っているファームもあります。
総合コンサルとは
特徴と業務内容
総合コンサルティングファームは、戦略立案から実行支援まで、企業活動の幅広い領域をカバーします。経営戦略はもちろん、IT導入、業務改善、人事制度設計、M&A後の統合支援など、多岐にわたるサービスを提供しています。
近年特に成長が著しいのは、IT関連のコンサルティング業務です。デジタルトランスフォーメーション(DX)支援、システム導入、データ活用基盤の構築など、技術的な専門性を活かしたプロジェクトが増加しています。
代表的な総合系ファームには、デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング、アクセンチュア、EYストラテジー・アンド・コンサルティングなどがあります。
求められる人材像
総合コンサルでは、幅広いバックグラウンドを持つ人材が活躍しています。戦略立案に強い人材だけでなく、IT系のエンジニア、業界特化の専門家、プロジェクトマネジメントに長けた人材など、多様な専門性が求められます。
特にIT領域では、システムエンジニアやデータサイエンティストとしての経験を持つ人材の需要が高まっています。技術的なスキルとコンサルティング能力を掛け合わせることで、高い付加価値を提供できるためです。
未経験からの転職も、総合コンサルの方が受け入れ体制が整っている傾向があります。入社後の研修制度やサポート体制も充実しており、段階的にコンサルタントとしての力をつけていくことが可能です。
年収比較
戦略コンサルの年収
戦略系コンサルティングファームの年収は、業界トップクラスの水準です。2024年の市場動向を見ると、アナリスト・アソシエイトクラスで600万円から800万円程度、コンサルタントクラスで1000万円以上、マネージャー以上になると2000万円を超えるケースも珍しくありません。
ただし、この高年収には、長時間労働や高い成果へのプレッシャーが伴います。評価は厳しく、成果を出せなければ昇進できない、あるいは退職を余儀なくされることもあります。
総合コンサルの年収
総合系コンサルティングファームの年収は、戦略系と比較するとやや低めですが、それでも一般的な事業会社と比べれば高い水準にあります。
アナリスト・コンサルタントクラスで500万円から700万円程度、シニアコンサルタントで800万円から1000万円、マネージャークラスで1200万円から1500万円、シニアマネージャー以上で1500万円以上というのが一般的な相場です。
総合コンサルの特徴は、年収の幅が広い点です。IT系の専門性を持つコンサルタントや、特定業界に精通した人材は、より高い年収を得られる可能性があります。
年収の伸び方の違い
戦略コンサルは、若いうちから高年収を得られますが、昇進競争は激しく、マネージャーになれるのは一握りです。一方、総合コンサルは、着実にキャリアを積み重ねることで、段階的に年収を上げていくことが可能です。
また、総合コンサルでは、専門性を深めることで年収を上げるルートもあります。たとえば、SAP導入のスペシャリストや、データアナリティクスの専門家として評価されれば、マネージャーにならずとも高年収を実現できます。
働き方の違い
勤務時間と労働環境
戦略コンサルは、一般的に長時間労働が常態化しています。プロジェクトの期限が迫れば、深夜まで働くことも珍しくありません。クライアントの経営判断に関わる重要な提案を行うため、完成度への要求水準が極めて高く、そのための労働時間も長くなる傾向があります。
総合コンサルも、プロジェクトの繁忙期には長時間労働が発生しますが、戦略系と比べれば比較的落ち着いている場合が多いです。特に、実行支援フェーズに入ると、定時で帰れる日も出てきます。ただし、これはプロジェクトやチームによって大きく異なります。
近年、働き方改革の影響で、コンサルティング業界全体で労働環境の改善が進んでいます。リモート勤務の導入や、労働時間管理の厳格化により、以前と比べれば働きやすくなっている会社も増えています。
チームとプロジェクトの進め方
戦略コンサルでは、3名から5名程度の少数精鋭チームでプロジェクトを進めます。各メンバーが高い専門性と責任を持ち、密接に連携しながら成果物を作り上げます。チームワークは重要ですが、同時に個人の能力が問われる環境でもあります。
総合コンサルでは、プロジェクトの規模が大きく、10名以上のチームで動くことも珍しくありません。戦略立案チーム、システム開発チーム、業務設計チームなど、役割分担が明確で、専門性に応じた活動が可能です。
ワークライフバランス
正直なところ、戦略コンサルでワークライフバランスを求めるのは難しいと言わざるを得ません。高年収と引き換えに、プライベートの時間を犠牲にする覚悟が必要です。
総合コンサルは、プロジェクトや部門によって大きく異なります。IT系のプロジェクトでは、開発フェーズに入ると比較的落ち着くこともあります。また、会社によっては、ワークライフバランスを重視した人事制度を導入しているところもあります。
転職を検討する際は、単に会社名だけでなく、配属される可能性のある部門やプロジェクトの特性を、転職エージェントを通じて確認することをおすすめします。
キャリアパスの違い
戦略コンサルのキャリア
戦略系ファームでは、典型的なキャリアパスとして、アナリスト→アソシエイト→コンサルタント→マネージャー→プリンシパル→パートナーという階段があります。
しかし、マネージャー以上に昇進できるのは限られた人材のみです。多くのコンサルタントは、3年から5年程度で事業会社への転職や起業を選択します。
戦略コンサル出身者は、事業会社の経営企画部門や新規事業開発部門で高く評価されます。また、スタートアップのCxOとして活躍する人材や、自ら起業する人材も多く見られます。
総合コンサルのキャリア
総合系ファームでも、基本的なキャリアラダーは戦略系と似ていますが、より多様なキャリアパスが存在します。
マネジメントラインを進む道のほか、特定領域のスペシャリストとして深化する道もあります。たとえば、SAP導入の専門家、サイバーセキュリティのエキスパート、データサイエンティストなど、技術的な専門性を武器にキャリアを築くことができます。
総合コンサル出身者の転職先も多岐にわたります。事業会社のIT部門、DX推進部門、業務改革部門などで活躍する人材が多く、また、IT企業やスタートアップへの転職も一般的です。
ファーム間の転職
戦略コンサルから総合コンサルへの転職は比較的容易ですが、逆は難しい傾向があります。戦略的思考力は総合コンサルでも高く評価されるためです。
一方、総合コンサルから戦略コンサルへの転職は、実績とポテンシャルが厳しく問われます。ただし、不可能ではなく、総合コンサルで優れた成果を上げた人材が戦略ファームに転職する事例もあります。
未経験からの転職可能性
戦略コンサルへの未経験転職
戦略系ファームは、採用基準が非常に高いことで知られています。しかし、完全に未経験からの転職が不可能というわけではありません。
ポテンシャル採用を行っているファームもあり、特に若手(20代)であれば、学歴や論理的思考力、コミュニケーション能力が評価されれば、業界未経験でも内定を得られる可能性があります。
ただし、選考プロセスは厳しく、ケース面接やフェルミ推定など、特殊な選考手法に対する十分な準備が必要です。転職エージェントのサポートを受けながら、対策を進めることをおすすめします。
総合コンサルへの未経験転職
総合系ファームは、未経験者の受け入れに比較的積極的です。特に、IT系の知識やエンジニアとしての経験を持つ人材は、高く評価されます。
業界経験がなくても、前職での専門知識や業務経験を活かせるポジションが多数存在します。たとえば、金融機関出身者は金融業界向けコンサルティングで、製造業出身者は製造業向けのプロジェクトで、その知見を活かすことができます。
入社後の研修制度も充実しており、コンサルティングの基礎から学ぶことが可能です。段階的にスキルを身につけながら、プロジェクトで実践経験を積むことで、一人前のコンサルタントへと成長していけます。
転職活動の進め方
情報収集の方法
コンサルティング業界への転職を成功させるには、まず業界や各ファームについての正確な情報を集めることが重要です。
各ファームの公式サイトには、サービス内容やプロジェクト事例、求人情報が掲載されています。また、採用情報ページでは、求められる人材像やキャリアパスについても確認できます。
転職エージェントに登録することも、効率的な情報収集の方法です。コンサル業界に特化したエージェントであれば、各ファームの特徴や、非公開求人の情報、選考のポイントなど、より詳細な情報を得られます。多くのエージェントは無料で利用できるため、複数のエージェントに登録して情報を比較することをおすすめします。
選考対策
コンサルティングファームの選考は、一般的な企業とは異なる特徴があります。
戦略系では、ケース面接が必ず実施されます。「コンビニの1日の売上を推定せよ」といったフェルミ推定や、「新規事業の戦略を立案せよ」といったビジネスケースに対して、論理的に回答する力が求められます。これらは独特のスキルが必要なため、専門的な対策が不可欠です。
総合系でも、論理的思考力を測る面接は実施されますが、戦略系ほど高度ではありません。それよりも、これまでの経験やスキルをどうコンサルティング業務に活かせるか、という点が重視されます。
エージェントの活用方法
転職エージェントは、求人紹介だけでなく、選考対策や年収交渉など、転職活動全般をサポートしてくれます。
特にコンサル業界への転職では、エージェントの支援が大きな力となります。ケース面接の模擬練習や、職務経歴書の添削、各ファームの選考傾向の共有など、実践的なサポートが受けられます。
エージェント選びのポイントは、コンサル業界への転職実績が豊富かどうかです。業界に精通したキャリアアドバイザーであれば、各ファームの違いや、自分に合ったファームの提案など、的確なアドバイスが期待できます。
また、複数のエージェントに登録することで、より多くの求人情報や視点を得ることができます。無料で利用できるサービスがほとんどなので、積極的に活用しましょう。
どちらを選ぶべきか
戦略コンサルが向いている人
- 経営戦略に強い関心がある方
- 論理的思考力に自信がある方
- 高年収を実現したい方
- 激務でも構わない方
- 若いうちに急成長したい方
戦略コンサルは、短期間で圧倒的な成長を遂げられる環境です。経営の最前線で活躍したい、トップレベルのビジネスパーソンと働きたい、という強い意欲を持つ方に適しています。
総合コンサルが向いている人
- 幅広い業務経験を積みたい方
- IT系のスキルを活かしたい方
- 専門性を深めたい方
- 比較的ワークライフバランスを保ちたい方
- 着実にキャリアを築きたい方
総合コンサルは、多様な経験を通じて成長できる環境です。技術的な専門性と、ビジネス視点を掛け合わせたキャリアを築きたい方に適しています。
両者の組み合わせ
キャリアの初期に戦略コンサルで鍛えられ、その後総合コンサルや事業会社で幅を広げる、というキャリアパスを選ぶ人材もいます。
あるいは、総合コンサルで実務経験を積んだ後、戦略的思考力を磨くために戦略ファームに転職する、という逆のパターンもあります。
重要なのは、自分のキャリアビジョンを明確にし、そのために今どこで何を学ぶべきかを考えることです。
まとめ
戦略コンサルと総合コンサルは、同じコンサルティング業界でありながら、提供する価値、働き方、キャリアパスにおいて大きく異なります。
戦略コンサルは、経営の根幹に関わる提案を行い、高年収ですが激務です。総合コンサルは、幅広い領域をカバーし、多様なバックグラウンドの人材が活躍できる環境です。
どちらが優れているということはなく、自分の価値観、キャリアビジョン、ライフスタイルに合った選択をすることが重要です。
転職活動を進める際は、各ファームの特徴を十分に理解し、自分に合った環境を見つけてください。転職エージェントのサポートを活用しながら、求人情報の一覧を確認し、複数のファームに応募することで、自分に最適な選択肢を見つけることができます。
コンサルティング業界は、今後も成長が期待される分野です。企業のDX化、グローバル化、新規事業開発など、コンサルタントへの需要は高まり続けています。自分のスキルと経験を活かし、充実したキャリアを築いていってください。
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●監修者
bloom株式会社 代表取締役 林 栄吾
慶應義塾大学を卒業後、株式会社ベイカレント・コンサルティングに入社。 事業戦略の策定・実行支援を中心としたコンサルティング業務に従事。
同社ではアカウントセールスマネージャーとして新規顧客開拓、メンバー育成を担う傍ら、採用責任者・人事責任者を歴任し、戦略コンサルティングと人事・採用の両面で豊富な実績を持つ。
独立後はbloom株式会社を設立。代表取締役として、コンサルティングと人事で培った知見を基に、不動産業および人材紹介業を統括している。