SAPコンサルタントの3つの種類|ITエンジニアではなく、「ITの知識」と「企業の業務知識(簿記や物流など)」の両方が求められる職種

サマリー

本記事では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展とともに市場価値が高騰している「SAPコンサルタント」について解説します。ITエンジニアとの決定的な違いは、プログラミングスキル以上に「企業の業務知識(簿記、物流、人事など)」が求められる点です。「アプリケーション」「テクニカル」「ベーシス」という3つの職種の違いや、未経験からの転職可能性、年収1,000万円以上も可能なキャリアパスについて、最新の業界動向を交えて詳しく紹介します。また、大阪や東京でリモートワークや残業少なめという好条件で働ける「株式会社プロアクシアコンサルティング」などの注目企業情報や、東証プライム上場企業の案件に関わる魅力についても触れています。

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はじめに:なぜ今、SAPコンサルタントが「狙い目」なのか

転職市場において、これほどまでに需要と供給のバランスが崩れ、求職者(売り手)が有利な状況にある職種は珍しいかもしれません。それが「SAPコンサルタント」です。

皆さんは「SAP(エス・エー・ピー)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ドイツに本社を置くヨーロッパ最大級のソフトウェア企業であり、同社が提供する「ERP(経営資源計画)システム」は、世界中の大企業で導入されています。企業の「ヒト・モノ・カネ・情報」を一元管理するこのシステムは、今やビジネスのインフラです。

現在、日本国内では「2027年問題」と呼ばれるシステム刷新の波が押し寄せています。多くの企業が最新版である「SAP S/4HANA」への移行を急いでいますが、それを支援できる人材が圧倒的に足りていません。そのため、経験者はもちろん、ポテンシャルを持った未経験者にも大きなチャンスが開かれています。

この記事では、単なるITエンジニアとは一線を画すSAPコンサルタントの仕事内容や魅力、そして具体的なキャリアの作り方について、現場の視点を交えてお話しします。


SAPコンサルタントの3つの種類と仕事内容

一口に「SAPコンサルタント」と言っても、その役割は専門領域によって大きく3つに分かれます。これらはサッカーチームのポジションのようなもので、それぞれ全く異なるスキルが求められます。

 

① アプリケーションコンサルタント(業務コンサルタント)

最も求人数が多く、SAPプロジェクトの「花形」とも言えるポジションです。彼らの仕事は、システムの導入を通じて顧客の「業務」を変革することです。

  • 何をする人?
    顧客企業の業務担当者(経理部長や工場長など)と直接会話をし、「現在の業務フロー」と「SAPの標準機能」とのギャップを埋めていきます。
  • 求められるスキル
    プログラミング能力よりも、「業務知識」が最重要です。
  • 会計(FI/CO)担当なら: 日商簿記2級以上の知識、決算業務の流れ、原価計算の仕組みなど。
  • ロジスティクス(SD/MM)担当なら: 受注から出荷までの流れ、在庫管理の手法、棚卸しの実務など。
  • 人事(HR)担当なら: 給与計算のロジック、労働基準法、タレントマネジメントの知識など。

彼らは、顧客の要望に対して「プログラムを作って対応しましょう」とは言いません。「SAPの標準機能であるこのパラメータを使えば、業務を効率化できます」と提案し、設定(コンフィギュレーション)を行うのが仕事です。つまり、「ITの言葉」ではなく「業務の言葉」で会話ができることが必須条件となります。

 

② テクニカルコンサルタント(デベロップメントコンサルタント)

アプリケーションコンサルタントが設計した要件の中で、標準機能ではどうしても実現できない部分を「開発」で解決する専門家です。

  • 何をする人?
    SAP独自のプログラミング言語である「ABAP(アバップ)」を使ってアドオンプログラムを開発したり、外部システム(ECサイトや銀行システムなど)との連携インターフェースを構築したりします。
  • 最新の動向
    最近では「SAP BTP」というクラウド上のプラットフォームを使った開発が主流になりつつあります。そのため、従来のABAPだけでなく、JavaやJavaScriptといった一般的なWeb開発スキルの需要も急増しています。Webエンジニアからの転身がしやすい領域でもあります。

 

③ ベーシスコンサルタント(インフラコンサルタント)

システムが動くための「土台」を作る、縁の下の力持ちです。

  • 何をする人?
    サーバーの構築、データベース(SAP HANA)の管理、システムのインストール、セキュリティ設定、パフォーマンスチューニングなどを行います。システムを24時間365日止まらないように守る、極めて重要な役割です。
  • 最新の動向
    かつては自社サーバールームに物理マシンを設置していましたが、現在はAWSやAzure、Google Cloudといった「パブリッククラウド」上への構築が当たり前になっています。そのため、クラウドインフラ(IaaS)の知識を持つインフラエンジニアからの転職者が即戦力として活躍しています。


ITエンジニアではなく「ビジネスアーキテクト」である理由

「IT業界の仕事=プログラミング」と思われがちですが、SAPコンサルタント、特にアプリケーションコンサルタントに関しては、その認識は少しずれています。なぜなら、彼らが扱うのは「コード」ではなく「ビジネスプロセス」そのものだからです。

例えば、ある商社から「販売管理システムを導入したい」と相談されたとします。

一般的なプログラマーであれば、「どんな画面が必要ですか?」「ボタンを押したらどう動きますか?」と機能面の話をするでしょう。

しかし、SAPコンサルタントは違います。

「御社の売上計上基準は出荷基準ですか?それとも検収基準ですか?」

「在庫評価は移動平均法で行っていますか?」

「海外支社との取引における移転価格税制への対応はどうなっていますか?」

こうした質問は、簿記や商流の知識がないと出てきません。顧客の経営層や業務責任者は、システムの話ではなく「ビジネスの話」をしたいのです。そのビジネス要件を理解し、世界中のベストプラクティスが詰まったSAPというパッケージに落とし込んでいく。これが「コンサルタント」と呼ばれる所以であり、単なる技術者との決定的な違いです。


市場動向:2027年問題とDXが生む「特需」

現在、SAP業界はかつてないほどの活況を呈しています。その最大の要因が「2027年問題」です。

長年使われてきた旧バージョンのSAP(ECC 6.0)のサポート期限が迫っており、日本企業の多くが最新の「SAP S/4HANA」への移行プロジェクトを進めています。

これに伴い、以下のキーワードに関連する求人が急増しています。

  • DX(デジタルトランスフォーメーション): 単なる入れ替えではなく、これを機に業務を標準化し、デジタル経営へシフトしたいという企業が増えています。
  • 上流工程: プロジェクトの初期段階(構想策定や要件定義)をリードできる人材は、どの企業でも喉から手が出るほど欲しがっています。
  • プライム案件: 東証プライム上場企業などの大手クライアント直請け(プライム)でプロジェクトを回せるコンサルティングファームやSIerへの人気が集まっています。

この「特需」は一過性のものではありません。導入後も、クラウド活用の深化や継続的な業務改善(保守・運用)のニーズが続くため、向こう10年以上は安定した需要が見込まれます。


気になる年収とキャリアパス

年収水準はIT業界でもトップクラス

高い専門性が求められる分、報酬も高水準です。

  • 未経験・若手層: 年収450万~600万円程度からスタートすることが多いです。
  • 経験者(3~5年): 年収600万~900万円。リーダー経験があれば1,000万円の大台も見えてきます。
  • フリーランス・シニア層: プロジェクトマネージャーや特定領域のスペシャリストになれば、月単価150万~200万円(年収換算で1,800万~2,400万円)というケースも珍しくありません。

 

未経験からでも挑戦可能か?

結論から言えば「可能」です。特に以下のようなバックグラウンドを持つ方は歓迎されます。

  1. 業務経験者: 経理、人事、調達、貿易実務などの実務経験がある方。「システムは分からないが業務は分かる」という強みを活かせます。
  2. ITエンジニア: Javaなどの開発経験や、インフラ構築経験がある方。「業務知識」をキャッチアップすれば強力な武器になります。
  3. 英語力がある方: SAPはグローバルシステムなので、英語のマニュアルを読んだり、海外拠点とメールができたりするだけで重宝されます。

まとめと転職活動へのアドバイス

SAPコンサルタントは、ITスキルと業務知識の両輪で企業の経営課題を解決する、市場価値の高いプロフェッショナルです。

記事のポイントまとめ:

  • 3つの職種: アプリケーション(業務)、テクニカル(開発)、ベーシス(インフラ)。
  • エンジニアとの違い: コードを書くより、簿記や物流などの「業務知識」を武器にする。
  • 市場価値: 2027年問題やDX推進により需要爆発中。年収1,000万円も現実的な目標。
  • おすすめの企業: 株式会社プロアクシアコンサルティングのように、残業が少なくリモート可、未経験支援のある企業が狙い目。

 

転職を検討されている方へ

現在、各転職エージェントではSAP関連の求人情報が多数出ています。しかし、人気の求人は「締切間近」となることも多いため、早めの行動が鍵となります。

「自分にはハードルが高いかも…」と悩んでいる方も、まずは転職エージェントに相談してみてください。あなたの持っている「経理の経験」や「Javaのスキル」が、実はSAP業界では喉から手が出るほど欲しいスキルかもしれません。

異業界からのチャレンジも、IT業界内でのキャリアチェンジも、今が絶好のタイミングです。ぜひ、最初の一歩を踏み出してみてください。

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参考URL

https://job.mynavi.jp/26/pc/search/corp261478/outline.html

https://www.proaxia-consulting.co.jp/

https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3013661450/

https://sap-career.com/become-sap-consul/

https://www.geekly.co.jp/companys/data/7050/

https://miraie-group.jp/sees/article/detail/it_consultant_nensyu

https://techtouch.jp/media/sap/sap-2027-problem/


●監修者

bloom株式会社 代表取締役 林 栄吾

慶應義塾大学を卒業後、株式会社ベイカレント・コンサルティングに入社。 事業戦略の策定・実行支援を中心としたコンサルティング業務に従事。

同社ではアカウントセールスマネージャーとして新規顧客開拓、メンバー育成を担う傍ら、採用責任者・人事責任者を歴任し、戦略コンサルティングと人事・採用の両面で豊富な実績を持つ。

独立後はbloom株式会社を設立。代表取締役として、コンサルティングと人事で培った知見を基に、不動産業および人材紹介業を統括している。