サマリー:活況な市場が牽引するAM業界の求人ニーズ
現在の日本の不動産投資業界は、歴史的な活況期を迎えています。2025年上半期には投資額が3兆円を超えるとの予測があり、年間取引額6兆円という過去最高の水準も現実味を帯びてきました。この市場の成長は、アセットマネジメント(AM、またはam)業界における採用求人ニーズを急速に高めています。
この活況の最大の要因は、急速な円安傾向の継続であり、海外投資家向けに日本の不動産物件が極めて割安的に映っているためです。これにより、海外金融機関からの積極的な資本取得が続いています。
このような国際的な資金移動と大規模事業運用の中で、企業が求めているのは、金融知識と現場経験を併せ持つ高度な専門者です。特に、不動産の管理経験を持つプロパティマネジメント(PM)の方で、より戦略的な仕事であるAMへの転職を希望する方にとって、現在は絶好の機会です。
AM業界では、専門資格の保有や経験5年以上(いじょう)の即戦力となる方に対して、高水準の給与や年収が提示されています。特に不動産証券化マスター資格は、必須ではないものの、転職において極めて強力な武器となり、キャリアアップを支援する決め手となります。
🔗不動産業界のキャリアアップ|金融、PMからAMへ|具体的に必要なスキル –
活況な日本の不動産投資市場の構造分析:3兆円投資の背景
1. 2025年上半期に投資額3兆円超、年間6兆円への期待
2023年以降、日本の不動産投資市場は世界の主要都市と比較しても、その安定性と流動性から高い評価を得ており、成長を継続しています。特に2025年上半期には投資総額が3兆円を超える見通しであり、年間で6兆円という歴史的な大台達成の期待が高まっています。
この市場の活況は、AM事業が今後、大規模で複雑な運用業務を担当することを意味します。投資を牽引しているのは、東京都や大都市地域の商業物件や物流施設であり、これらは高い専門性と長期的な企画力を要するアセット管理が必須です。市場規模の拡大は、AM企業の収益基盤を強化し、結果として転職者の年収や給与水準の向上にも直結しています。
2. 為替変動(円安)がもたらす海外投資の影響
現在の市場の熱狂は、為替レートの変動と密接に関連しています。急速な円安傾向が続く中、外国人投資家にとって日本の不動産は極めて魅力的で割安な投資機会と認識されています。例えば、1,000万円の物件を取得する際、1ドル100円の時と比較し、1ドル150円の現在では、約3分の2のドル系資金で取得可能となります。
この割安感から、海外企業や金融ファンドからの資本流入が顕著であり、特に都市地域での高級物件や収益性の高い物件では価格競争が激化しています。
その他の要因として、円安は輸出企業の収益を押し上げ、彼らの設備投資や事業開発を促進します。また、インバウンド需要の回復に伴い、ホテル系や観光関連施設の運用・開発への投資も活発化しており、市場全体に波及効果をもたらしています。
しかし、円安は同時に建築資材の輸入コストも押し上げるため、新規開発事業の企画や実行においては、コスト増を吸収し、投資リターンを確保できる高度な運用戦略、すなわちAMの専門性が必須となります。AM担当者には、国際金融知識に基づく為替リスク管理能力や、海外投資家向けの英語によるレポーティング業務への対応力が求められています。
3. 投資対象の多様化とESGの視点
業界の成長に伴い、投資物件のポートフォリオは多様化しています。従来のオフィスや商業施設に加え、レジデンシャル系(集合住宅)、データセンター、ヘルスケア施設など、その他のアセットクラスへの投資が拡大しています。
さらに、近年はESG(環境・社会・ガバナンス)投資の普及が世界的な潮流となっており、環境配慮型の不動産証券化商品のニーズが増加しています。AM企業は、単なる収益性だけでなく、物件の長期的な社会的価値を考慮した事業運用を担当する必要があり、この分野の知見を持つ者の需要は非常に高まっています。

不動産AMの仕事と業務:投資運用のプロフェッショナル
1. アセットマネジメント(AM)とは:金融的な役割
アセットマネジメント(AM)は、投資家から委託された不動産(アセット)を管理し、収益の最大化を目指す戦略的な業務です。これは、不動産を金融商品と捉え、高度な財務分析と企画力をもって運用戦略を立案する仕事であり、金融的な側面が非常に強いのが特徴です。
AMの仕事は、物件の取得から、運用(期中管理)、そして最終的な売却(出口戦略)まで、投資サイクル全体を担当します。この中で、市場の変化やテナントの動向、物件の物理的な状態など、あらゆるデータを分析し、投資家へのリターンを最大化するための判断を下します。
2. プロパティマネジメント(PM)との決定的な違い
AMとプロパティマネジメント(PM)の役割の違いを明確に理解することは、転職を目指す方にとって極めて重要です。PMは「現場」のプロとして、建物の管理(BM)、テナント募集(リーシングマネジメント)、入居者向けサービス提供など、物件の物理的・運営的な価値を維持・向上させるための実務業務を担当します。
一方、AMは「投資・判断」のプロです。PM会社から提出される詳細な現場データや収支レポートを分析し、それを基に大規模なリノベーション企画の実行可否や、売却のタイミングといった戦略的な投資判断に繋げます。両者は単なる上下関係ではなく、AMの戦略的ビジョンとPMの現場実行力が一体となって初めて、不動産投資という事業が成功する、密接な連携関係にあります。
特に、PM経験者、中でもJ-REITや私募ファンドが保有する物件の管理経験を持つ者は、投資家視点でのレポーティング業務などにも慣れているため、選考で高く評価される傾向にあります。賃貸事業を展開する会社でPMとして経験を積み、管理スキルと収益化プロセスを習得することは、AM職種への王道キャリアパスの1つとされています。
3. AMの主要職種と業務一覧
AM企業における職種は多岐にわたりますが、主に不動産投資サイクルの各段階を担当します。
アセットマネジメント(AM)の主要職種と業務一覧

アセットマネジメント(AM)とプロパティマネジメント(PM)の役割比較

不動産AMの採用動向と求められる人材像
1. AM業界の求人・転職ニーズの現状
活況な市場を背景に、am業界の求人数は増加の一途をたどっています。主要な勤務地は、投資の中心地である東京都に集中しており、外資系金融企業、大手不動産会社、そしてJ-REIT会社などが主要な採用元となっています。
採用ターゲットは、即戦力となる経験者向けであり、特に経験5年以上の方を優遇する傾向が顕著です。専門的な経験を持つ者に対する年収や給与水準は非常に高く、運用成績に応じたインセンティブボーナスが支給される会社が多いため、数千万円レベルの高年収提示も珍しくありません。
2. 必須スキルと有利な経験
AMの仕事は、不動産業務の知識だけでなく、金融的な視点と高度なデータ分析能力が必須とされます。
(1) 金融リテラシーと戦略的思考
投資分析、キャッシュフロー予測、金融商品の理解はAM担当者の基盤となるスキルです。現在、業界で求められているのは、不動産を流動化・証券化し、国際的な投資家に対して説明責任を果たせる者です。
(2) 現場経験(プロパティマネジメント)の重要性
プロパティマネジメントの現場経験は、AMへの転職において極めて強力な武器となります。現場のリアルな物件管理コスト、リーシングの難易度、物件の改修企画が投資リターンにどう影響するかを具体的に理解している方は、戦略の実行フェーズで大きな強みを発揮できます。この経験を持つ者は、その他の応募者と差別化を図ることが可能です。
(3) データ分析能力の強化
巨大アセットポートフォリオの運用成績を評価し、精緻な投資家報告を行うため、高度なデータ分析スキルが求められます。財務データや市場データを使いこなし、投資判断の根拠を構築する業務が増加しています。今後、IT技術を活用した不動産管理(PropTech)がさらに進むため、その他のIT系資格やデータ分析資格の取得も、キャリアアップのサポートとなります。
転職成功のための具体的な支援と戦略
1. 評価を高める資格の取得
AM業界への転職に必須の資格はありませんが、特定の資格を保有していると、専門性と意欲を証明でき、転職成功率を飛躍的に高めることができます。
不動産証券化マスター資格の優位性
中でも「不動産証券化マスター資格」は、不動産と金融分野にわたる幅広い実践的な専門知識を社会的に証明する資格であり、アセットマネジメント運用業への就業には「欠かせない資格」とまで言われています。
この資格は、投資分析、金融ファイナンス理論、商品設計、倫理行動など、AMの業務に直結する広範な知識を網羅しています。特に、近年増加しているESG投資向けの不動産証券化商品の運用に関する知見を持つ者の需要はさらに高まると見込まれます。
この資格は、転職を有利に進めるための強力な差別化要因です。また、2025年度の新制度により、コース受講に求められていた金融または不動産の2年以上の実務経験が必須ではなくなり、未経験の方でも知識を先行して取得しやすくなりました。
AM職への転職で評価される主要資格と経験

その他、キャリアを支援する資格
宅地建物取引士(宅建)は、不動産取引の基礎知識として役立ちます。さらに、公認会計士やCFA(証券アナリスト)系資格は、高度な財務分析能力や金融リテラシーを証明する強力なサポートとなり、年収や給与交渉を有利に進めることが可能です。
2. 最適な求人を探すアプローチと支援
不動産アセットマネジメント業界は、専門性が高いため、非公開求人が多く、一般の求人検索サービスでは探すことが困難な優良企業の求人が多数存在します。
専門の転職支援サービスを活用することは、優良な企業の求人情報を一覧で把握し、自身の経験やスキルに合った職種への応募を可能にする近道です。専門のキャリアアドバイザーは、応募書類作成の支援だけでなく、面接で問われる投資戦略や運用事業に関する深い質疑応答に備えた企画立案サポートを提供します。あなたの経験をAM企業向けに最大化してアピールするための戦略的な支援を受けることで、転職成功の可能性を大きく引き上げることができます。
まとめ:活況な市場の波に乗るために
日本の不動産投資市場は、2025年に年間6兆円の取引も視野に入れるなど、過去最高の事業規模へと拡大しており、アセットマネジメント業界は未曾有の求人ラッシュを迎えています。
この成長市場は、経験と専門性を持つ者に対して高い給与とキャリアの成長機会を提供しています。特にプロパティマネジメント系の現場経験があり、金融的な知見を補強している方は、即戦力として最も求められる人材です。
東京都地区での勤務を希望する方は、自身の経験5年以上のキャリアと、不動産証券化マスターなどの資格を融合させることで、この市場の活況な波に乗り、転職を成功させることが可能です。このダイナミックな業界で仕事を探す方にとって、今がキャリアのネクストステップを踏み出す絶好の機会であると言えるでしょう。
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参考URL
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⚫︎監修者
bloom株式会社 最高執行役社長 (COO) 小田村 郷
慶應義塾大学を卒業後、三井不動産リアルティ株式会社に入社し、不動産仲介(リテール・法人)の第一線で実務経験を積む。
その後、トーセイ・アセット・アドバイザーズ株式会社に移籍。不動産ファンドのアセットマネジメント(AM)業務を専門に担当し、投資家サイドの高度な専門知識を習得する。
独立後、bloom株式会社に参画。最高執行役社長として、不動産仲介からアセットマネジメントまで、不動産業界の川上から川下までを熟知したプロフェッショナルとして事業全体を牽引している。