不動産証券化マスターの資格について、不動産AMへの転職への関連性。

1.不動産証券化マスターの概要

2006 年に作られたこの制度は、投資家保護と市場の健全な発展に寄与することを目的に、不動産証券化に関する高度な専門知識と高い倫理を有する者に「不動産証券化協会認定マスター(ARES Certified Master)」の認定を与えるものです。2024年2月現在、1万名を超える方々がマスター・アソシエイトとして資格認定されております。活躍業界としては不動産会社、建設会社などの不動産業や、銀行、信託銀行、証券会社、保険会社、資産運用会社などの金融業や法律事務所、監査法人、不動産鑑定評価機関、税務会計事務所、政府系機関、シンクタンク、コンサルティング、格付機関など不動産証券化を支える各分野の専門機関に従事している人も該当します。


2.不動産証券化マスター受験の流れと科目数

だいたい毎年5月くらいに申し込みが開始しされ、順次教材が届きます。11月に一次試験、合格したら、翌年1月~3月で2次試験となります。約1年間に渡るマスター養成講座Course1とCourse 2があり、Course 1を合格したものでないとCourse 2には進むことはできません。両コースで13万円程の費用がかかります。

■不動産証券化マスター(一次試験)

101~106までの6科目を学びます。不動産証券化の世界の概要、スキーム図、信託などの話から、税務・法務、大学で学ぶ経済学の応用のようなもの、不動産証券化の世界で登場する代表的な投資家の属性など様々な内容です。また、そもそも信託受益権を扱うため、宅建ではなく(国土交通省ではなく)、金融庁の管轄となります。そのため金融庁管轄のライセンスのお話やお金の集め方(公募や私募)など多岐に渡り勉強をします。宅建での不動産基礎力があった上で、更に金融の知識と融合された資格ですので難易度は高いかと思います。

■不動産証券化マスター(二次試験)

二次は簡易なテストが最後にありますが、一次試験に比べると難易度はかなり下がります。レポート課題が中心で、実際に不動産の収支を計算(UWの作成)してみたり、REITの銘柄毎の特徴を分析したりする課題が出される場合もあります

※UW=アンダーライティング=不動産の収支を自分で想定して作成する


3.不動産証券化マスターの勉強法

不動産証券化マスターの試験対策としては過去問の問題文まで暗記してしまうのが一番効果的かと存じます。正直、不動産証券化の世界観を学ぶ本はありますが、証券化マスター専用の参考書は見かけたことがありません。

不動産ファンドの世界観を学ぶのに適していると思う本は以下がおすすめです。不動産証券化ハンドブックのようなものもございますが、かなり内容的に細かすぎて難しい印象です。

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試験対策をサポートしてくれる問題集のようなものが販売されていればよいのですが、見たことがありません。まだまだ独学でする必要がある資格で、宅建の上位互換のような資格であるため十分に対策が必要です。

教科書の熟読と過去問をひたすら解くことが単純ですが、合格への近道かと思います。


4.不動産証券化マスターの資格維持

年間の資格更新料が6000円程かかります。また、毎年30ポイントを取らなければなりません。これは記事を読みテストを解いたりすることでポイントを取得できる仕組みになっております。

常に証券化のトレンドを追い続けるという点では資格をとった後もある程度の学習を促している資格になっています。


5.資格に対する不動産AM会社の評価

不動産AM未経験(PM等)から不動産AMに転職する場合にはプラス材料としてとらえている企業もある一定数ございます。

AM会社の人事担当者の中には証券化マスターの資格を気にしている方もいるので一定の評価は得られる資格かと思います。

ただし、本質的なところでは今までの業務内容の経験値を見て採用しているため、あくまで参考程度の評価項目ではあることを認識する必要があります

証券化マスターの勉強は不動産ファンド・AMの世界観を理解するのに有効な手段ではあると思います。勉強することで面接の時に話せる内容は各段に増え合格の角度も高まります。

未経験からの不動産アセットマネジメント会社への転職はbloom株式会社の得意としている領域でございますのでぜひお問い合わせください。