自己分析を通じて導く不動産業界の志望動機作成術-外せないポイント-

はじめに ─ 志望動機とは?どのくらい重要なのか?なぜ書くのか?

転職活動では志望動機が合否を左右すると言っても過言ではありません。採用担当者は志望動機から応募者の熱意や適性を見極め、長く貢献してくれる人材かどうかを判断します。

志望動機を書く目的は、「自分はなぜその仕事に興味を持ち、何を提供できるのか」を言語化することです。特に専門性の高い不動産アセットマネジメント(AM)職やプロパティマネジメント(PM)職では、業界への理解と熱意を示す志望動機が差別化につながります。また、文章を練る過程で業界研究や自己分析が深まり、自身のキャリア目標も明確になります。志望動機を書くこと自体があなたのキャリアを見つめ直す機会であり、企業にあなたを売り出す絶好のチャンスになります。

不動産アセットマネジメントとは?職種別の仕事内容、AM実務経験者監修


不動産アセットマネジメント職の志望動機で外せないポイント

不動産アセットマネジメント(AM)職は、不動産を投資対象として運用し資産価値を最大化する仕事です。投資家から不動産資産の運用を委ねられ、戦略立案から収益管理まで担う重要なポジションといえます。そのため志望動機では、以下のポイントを押さえる(ここではなぜ転職するかという一番大切な部分については個別性が高いため除き、不動産AMとしての要素に絞ります)必要があります。

①「なぜ不動産AM職を志望するのか」

数ある仕事の中でこの世界に惹かれた理由を具体的に(例えば、大きいアセットの方が遵法性や収益分析など詳細に分析が求められ項目も多く、知識も多方面に要求されると思うので、自分自身もより成長していくことができる仕事等)語ります。志望理由は自分の経験を交えて述べると説得力が増します。関連する学びや取得資格(不動産証券化マスターや宅地建物取引士取得など)の実績があれば触れることも有効です。

②「自分の経験・スキルは不動産AMにどう活かせるか、親和性があるか」

中途採用で経験者であれば過去の実績を数値とともに定量的に示し、会社に貢献できる根拠を伝えます。一方未経験者なら、前職で培った分析力・関係者調整力など不動産AMに転用可能な強みを挙げましょう。また近年業界で注目されるESG投資やDXへの関心を示すことも効果的です。「データ活用による運用効率化に挑戦したい」「サステナブル投資に貢献したい」など新潮流への意欲を盛り込めばプラス評価につながります。

ESG投資の記事については以下をご参考ください。

J-REITを中心としたESG投資と環境認証の最前線 ~建物の「見える化」が投資価値を変える時代へ

 

③「なぜその企業を選ぶのか」

他社ではなく応募先を選んだ理由(扱うことのできるアセットタイプの特徴、私募か公募か、扱える業務範囲、会社の理念への共感など)を具体的に挙げ、志望度の高さを示します。この部分が不明確だと熱意を疑われてしまう可能性があります。

 

④「入社後のビジョン」

入社後にAM職として成し遂げたいことやキャリア目標を示すことで、長期的な会社への貢献や意欲をアピールできます。例えば「将来ファンドマネジメントの基礎を学んだ上で、ファンドマネージャーとして日本を代表とするような大型案件をリードしたい」など具体的な目標を挙げると良いです。

以上のポイントを踏まえて志望動機を組み立てれば、AM職への熱意を効果的に伝えられます。


プロパティマネジメント職の志望動機で外せないポイント

プロパティマネジメント(PM)職は、不動産の現場管理を通じて資産価値を維持・向上させる仕事です。PMはAMやオーナーから不動産経営業務を代行し、現場で「賃貸経営」の運営管理を行う役割を担います。志望動機では、PM職ならではの視点で熱意を伝えることが重要となります。

 

①「なぜ不動産PM職を志望するのか」

不動産業界の中でも不動産PMを選んだ理由を、自身の経験や価値観と結びつけて述べます。志望理由は具体的なエピソードを交えると説得力が増します。

 

②「自分の経験・スキルは不動産PMにどう活かせるか、親和性があるか」

不動産PM職ではコミュニケーション能力、忍耐力、交渉力などが特に重視されるため、その点での自分の強みを具体的に示します 。さらに不動産AMと同様、不動産PMもファンドと関連するため、近年のデジタル技術の活用も求められ、IoTやDXへの関心、環境認証などへの興味も示せれば、より良いアピールになります。

 

③「なぜその企業を選ぶのか」

応募先企業が管理する物件の種類やサービス方針に共感した点、自分の目指すPM像との共通点など、「御社だからこそ志望する」理由を述べましょう。企業研究に基づき具体的に挙げることで、志望度の高さが伝わります。特に御社は賃料交渉に強みがあると伺ったため、交渉力をより磨くことができると思ったからなど、具体的でニッチな情報を言えるとよいかもしれません。

 

④「入社後に挑戦したいこと」

将来的にどのようなPM職のプロになりたいかを示すことで、長期的な意欲をアピールできます。例えば「将来は一ファンドのポートフォリオを統括するマネージャーとなりチームを率いたい」「不動産テックを取り入れた新しい管理サービスを企画したい」など具体的な目標を挙げると良いでしょう。

以上のポイントを盛り込めば、PM職への熱意と適性が具体的に伝わる志望動機となります。


そもそもなぜ志望動機を書くのがむずかしいのか

多くの求職者が志望動機の作成に苦戦します。その主な理由として次のような点が挙げられます。

  • 自己分析が難しい: 自身の経験や強みを改めて言語化し、「この仕事で何が活かせるか」を整理する作業は簡単ではありません。 特に未経験から挑戦する場合、自分のどの部分をアピールすべきか迷いがちです。
  • 業界・職種理解の不足: 不動産AMやPMの仕事内容や求められる資質を理解していないと、的外れな志望動機になってしまいます。業界研究が不十分なままだと魅力的な動機を書けないでしょう。
  • 表現の難しさ: 単に熱意を述べるだけでは説得力に欠け、一方で形式的になり過ぎると人柄が伝わりません。自分らしさを出しつつビジネスライクにまとめるバランスを取るのが難しいのです。また、前職を辞めた理由と志望先でやりたいことをポジティブに一貫させるストーリー構成にも頭を悩ませる人が多いです。

このように複数の要因が絡むため、志望動機を書くのは容易ではありません。しかし、しっかり準備をすれば納得のいく志望動機を書くことは可能です。次章では、そのために押さえておきたい四つの要素を解説します。


中途採用の志望動機に必要な四要素

中途採用の志望動機では、主に四つの要素をバランス良く盛り込むことが重要だとされています。これらが揃うことで、内容に一貫性と説得力が生まれます。四要素とは以下の通りです。

①業界・職種を志望する理由 – なぜ不動産業界なのか、なぜAM/PM職なのかを明確にします。他の道ではなくその業界・職種を選んだ動機を具体的に述べ、志望軸をはっきり示しましょう。

②その企業を志望する理由 – 数ある会社の中でなぜその企業なのかを伝えます。事業内容や理念への共感、その企業ならではの魅力など「御社でなければならない理由」を挙げます。

③活かせる経験・強み – 自分のどんな経験やスキルが応募職種で活かせるかを示します。中途なら前職での実績、未経験なら学生時代やインターンで培った能力など、自分ならではの強みをアピールします。

④入社後のキャリアビジョン – 入社後に何を実現したいか、将来的にどう貢献したいかを描きます。「◯年後に◯◯の専門家になりたい」「将来は海外案件にも携わりたい」など具体的な目標を述べて、長期的な意欲を示しましょう。

以上の四要素が揃っていれば、採用側に「熱意・適性・相性・将来性」が伝わり、強い志望動機になります。逆にどれかが欠けると説得力に欠けるため注意が必要です。


志望動機を書く前にやっておくべき五つの準備

志望動機を書き始める前に、事前準備をしっかり行うことで文章の質が格段に向上します。以下に五つの準備を挙げます。

①自己分析 – 自分の経験・スキル・価値観を棚卸ししましょう。これまでのキャリアや学生時代の経験から得た強みは何か、不動産業界に惹かれる自分の原点はどこかを洗い出します。

②業界・職種研究 – 不動産業界全体の動向やAM/PM職の役割を調べます。業界の課題やトレンド(例:ESGやDXの進展)にも目を通しておきましょう。

③企業研究 – 応募先企業の事業内容や強み、企業理念、扱う物件の特徴などを徹底的に調べます。公式サイトや求人票はもちろん、業界ニュースにも目を通しましょう。企業ごとに「この会社だからこそ惹かれる点」を明確にしておくと、志望動機に説得力が加わります。

④エピソード整理 – 志望動機に使えそうな自分の経験をいくつかピックアップします。前職で達成したこと、学生時代に力を入れたこと、インターンで学んだことなどから志望職種に関連するエピソードを選び、簡潔に説明できるよう整理しておきます。

⑤第三者からの意見収集 – 転職エージェントなど第三者に志望動機を見てもらい、客観的なフィードバックを得ましょう。自分では気づかなかった強みに気付けることがあります。

以上の準備を経てから志望動機を書き始めれば、内容にブレがなく筋の通った文章になり、面接でも役立つはずです。


おわりに ─ 志望動機を書くこと自体がキャリアを磨く

志望動機作成は単なる選考対策ではなく、自己分析・業界研究・キャリア設計を一気に深める自己研鑽プロセスです。自分の言葉で「なぜ業界/職種/企業か」「どう貢献し、どこへ向かうか」を整理すれば、面接でもブレない軸となり、入社後の方向性にも自信が持てます。
採用側は多額のコストを投じて人材を迎えるため、「情熱と継続性を備え、具体的に成果を出せる人物」を求めています。ESG・DXの潮流を踏まえたAM職の運用視点、人と組織をつなぐPM職の現場力を絡め、4要素(業界・職種・企業・キャリアビジョン)で一貫性あるストーリーを語ることが重要です。
丁寧に作成した志望動機は、他候補との差別化になり、転職活動での最大の武器にもなります。

 

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【参考文献・情報源】

日経転職版「【例文付き】40代転職者必見!志望動機で重視される要素と書き方(※40代転職ノウハウ)」